GOOD STORY.09

Pizzeria Piatto

ADDRESS

IIDABASHI TOKYO

FLOOR SPACE

320.10m2

CONCEPT

ウェディングにもビジネスランチにも、様々なシーンで利用できるイタリアン。開放的な空間と圧倒的な内装デザインで、不利と思われた立地を生かした店舗経営のGOOD STORY

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CREDIT

Designer Seki Satoko
Project Manager Seki Satoko

花と緑に囲まれた特別な空間

東京・飯田橋の閑静なビジネス区画。集客は難しいとされてきたこの場所に待望のイタリアン、ピッツェリア ピアットを開業。おいしい料理は当たり前。開放的な空間、圧倒的な内装デザインによって実現したかった思いを取締役の佐々木省二さんにうかがいました。

第一印象でお客様の心をとらえるために

――2018年5月、ピッツェリア ピアットを飯田橋アイガーデンテラスに出店された経緯をお聞かせいただけますか?

佐々木省二さん(ピアット 取締役/以下、佐々木。敬称略):以前は銀座に店舗がありましたが、お客様がご宴会の下見に来られても即決していただけないケースが多かったんです。そこで、ビルの建て替えで移転するとき、開放的な空間に圧倒的なデザインをすればコンスタントに集客できるのではないかと考えました。

――物件と内装デザイン会社を同時進行で探されていたのですね。

佐々木:先に物件を見つけました。この立地は繁華街ではないので人通りは多くありません。逆を言えば、土日は結婚式の2次会を集客しようと考えていたので、近くに東京大神宮さんや椿山荘さん、ホテルエドモンドさんがあることに余地を感じました。平日は近隣オフィスのビジネスランチを見込んでいたので、この2面性があれば売上が立つだろうと思いました。

関聡子(エイケー/以下、関):店舗が広すぎることも懸念されましたが、佐々木さんの考えをお伺いして一緒にチャレンジしたいと思いました。

佐々木:弊社の社長にも「失敗するんじゃないの」と言われましたが、私は若干の自信があったんです。案の定、店をオープンしてみると思惑どおりに集客できました。それは、エイケーの関さんが、圧倒的なデザインをしてくれたことが大きな要因です。

――エイケーに内装デザインを依頼しようと思われたきっかけは?

佐々木:弊社の社長が、私の姉ですけれども、店舗デザインに新しい風を吹かせたいと、インターネット検索でたまたま見つけたエイケーのホームページを気に入って「ここがいいんじゃないの」と言うので電話で問い合わせをしました。半信半疑でエイケーの事務所に伺うと、空間のセンスが素敵だったんですよ。スタッフも柔らかい考えを持っていることが窺われたので「エイケーでいいと思う」と弊社の社長に進言しました。

花びらを集約させた「Flower road」
幸せが降りそそぐ、記念日のストーリーを描く

――内装デザインのアイデアはお持ちでしたか?

佐々木:具体的な案はありませんでしたが、最初に電話でオファーしたときに結婚式の二次会が取れる圧倒的な内装にしたいという思いは伝えました。そこで、関さんが考えてくれたのがフラワーロードです。バージンロードを天井に作るというストーリー性のある素晴らしい提案でした。

――関さんはどのような考えで、フラワーロードを提案したのですか?

関:ウェディングは多くの方にとって人生で一度のとても大事なイベントです。それが二次会であっても、バージンロードやフラワーシャワーを彷彿させるデザインを取り入れたいと思いました。だからといって、レッドカーペットを敷くのは営業に支障があります。そこで、普段はカジュアルなイタリアンとして幅広い層の方々が利用できるように、天井から降りそそぐフラワーロード、花道をデザインしました。

天井の高さを活かして、花道を抜けた吹き抜けに大きなシャンデリア、壁面にフラワージュエリーボックスのディスプレイを入れ、ウェディングサイトに写真が載ったときに一枚で絵になるデザインを提案させていただきました。

佐々木:ほんとうに素敵だなと思いました。いつもシビアな意見を言う弊社社長も、1回目の提案でほぼOKでした。

関:平日のビジネスランチも考えて、ウェディングや女性向けのデザインに振りすぎないように心がけました。

佐々木:私からは、可動性のあるテーブルと、個室を必ず一つは作りたいと要望しました。銀座店の経験で、お客様からの電話で個室の有無をよく聞かれたので、予約を取るうえでのキーワードになると感じていたんです。

――設計で難しかったことはありますか?

関:レイアウトが決まるまでは悩みました。ウェディングの高砂をどこにするか、いろいろなパターンを出して話し合いましたね。

佐々木:普通に考えたら店舗のエントランス側を客席にしますが、バンケットを広く取るには、キッチンにしようとしていた奥側を高砂にするのがいいという結論でした。

――逆転の発想ですね。

佐々木:エイケーの営業の長井さんが、奥側をバンケットにしては、と言ったことが理にかなっていました。着席58人、立食70人でご利用いただけます。

関:長井は花の仕事もしていてウェディング会場へ行く機会が多く、このスペースに入れる人数をさっと割り出してくれたんですよね。

佐々木:エイケーに内装をお願いしたのは、最初に長井さんが電話対応してくれて、私が言おうとしていることをさっと感じ取ってくれたことも大きかったですね。施工担当の小池さんも、空きスペースに収納を作る提案をしてくれて、各段階でいろいろな方からアイデアをいただけたのがよかったです。

従業員が誇りを持てる店でありたい

――オープンして1年が経ちますが、お客様の反応はいかがですか?

佐々木:お客様が宴会を即決してくれます。ウェディングだけを取りたければ、青山やお台場に出店すればいいと思いますが平日に人が入らないと聞いています。ここは、ビジネスランチや企業の宴会利用もあって集客は予想の2割増しです。陸の孤島のような場所にお宝が眠っていました。5年間ほど空き物件だったんですよ。

関:先日、お店にお伺いしたときは、東京ドームのコンサート帰りのお客様もいらっしゃいました。

佐々木:そうなんですよ。オフィスのランチ需要、内装力で土日のウェディングは取れると思っていましたが、地域住民の方々のご利用、東京ドームからのお客様の流れは予想外。「いい店ができてよかった」と喜んでいただけて嬉しいです。

――今後、どのようなお店にしたいと考えていらっしゃいますか?

佐々木:スタッフが長く働いてくれて、会社に利益が出ることで、ギャランティを上げていくことが理想です。銀座店のときから10年近く働いてくれている人もいるんですよ。スタッフが家族や知り合いを連れて来たいと思える店になれば、お客様にも喜んでいただけるはずです。

――従業員満足も意識した店作りでもあったのですね。

佐々木:広すぎるかなと思いましたが、テラスのある開放的な物件を選んだのは、スタッフが気持ち良く働けると考えたからです。店舗デザインは求人にも効果的ですし、離職率が低いのは内装の力による高揚感もあると分析しています。

関:スタッフの皆さんが自信を持てるお店にすることは、いつも意識しています。

――関さんから見た、ピアット様の強みは?

関:社長様がバシッと決め、佐々木さんがアシストして、経営のバランスが取れていると思いました。弊社も社長と専務が兄弟で、社長がパッと決断して、専務が親身に話を聞いてくれます。私はデザイン視点で考えがちですが、佐々木さんは経営視点でお客様やスタッフのことをしっかりと考えていらしたので絶対に成功すると思いました。

――佐々木さんから見たエイケーの強みを挙げていただけますか?

佐々木:洗練されたデザイン力、もう一つは誠意です。いい関係が築けたのはそこだと思います。

関:ありがとうございます。先日、弊社の新入社員歓迎会をこちらでさせていただき、スタッフの皆さんにとてもよくしていただきました。普段の食事はもちろん、ウェディングパーティーやイベント利用等、どのようなシーンにも対応できるデザイン性の高いお店になったと感じています。

[店舗紹介]
ピッツェリア ピアット
飯田橋アイガーデンテラス3階にオープン。石窯焼きの本格ナポリピッツァ、自家製燻製料理、チーズ料理、パスタや肉料理などが楽しめる。シェフが腕を振るうコース料理、ソムリエが厳選したイタリアワインも秀逸。広々とした開放的な空間は、ランチ、ディナー、パーティーなど多目的に利用できる。姉妹店にピアット豊洲店がある。

[プロフィール]
佐々木省二 有限会社フューチャースペース 取締役
飯田橋と豊洲で2店舗のカジュアル・イタリアンレストランを経営。現場スタッフの裁量によるメニュー作りや店舗運営、待遇・福利厚生の充実などに積極的に取り組んでいる。

関 聡子 株式会社エイケー クリエイティブディレクター
グラフィックデザイナーとして経験を積んだのち、空間デザイナーとしてエイケーに入社。顧客の事業に貢献できる仕事を目指す。グラフィックで培った細やかな感性を、店舗空間に昇華させている。商業施設士。