GOOD STORY.07

LIG,OFFICE

ADDRESS

TAITOKU TOKYO

FLOOR SPACE

888.45㎡

CONCEPT

web制作会社であり、コワーキングスペースなど多岐にわたる事業を展開するLIG。遊ぶように暮らすように仕事をするスタイルを体現する本社オフィスのGOOD STORY

MORE

CREDIT

Designer Tetsushi Kurokawa Yasuhito Koike
Project Manager Tetsushi Kurokawa

仕事と暮らしが緩やかに繋がる“Life is Good”な場所

企業理念の“Life is Good”のもとに、個性豊かな社員が集まり、全国各地でさまざまな事業を生みだすweb制作会社のLIG。上野から新御徒町に移転してLIGビルと名付けた本社オフィスにもその理念が貫かれています。LIGっぽさとは何か? 代表取締役社長の吉原ゴウさんに伺いました。

ぜんぶ受け入れる、大きな家をつくろう!

――本社オフィスの移転先にこの場所を選んだ理由からお聞かせいただけますか?

吉原ゴウさん(LIG代表取締役社長/以下、吉原。敬称略):本社が入居していたビルの取り壊しが決まって、台東区上野の近辺で物件を探していました。上野はもともとオフィスビルが少ない中で、新御徒町の駅近でビル1棟丸ごと好きなように使っていいと言ってくださるオーナーがいてこの物件に決めました。そのぶん結構年季が入っていましたが。

小池康仁(エイケー/以下、小池):古いビルは個人的には大好きだし、佇まいも良かったのでポテンシャルが高い感じはしましたよ。いろんな意味でやりがいがあると思いました。

――オフィスを設計するにあたってどのような要望を出されましたか?

吉原:2面が細い路地に面しているので、ビルの外観も含めてどうやってLIGぽさを出していくか、ビル全体のゾーニングと1階部分のあるべき姿は結構考えましたね。自社オフィス、コワーキングスペース、英会話教室、クリエイタースクールの各事業の受付をエントランスに集約して、入口をはいると1階から4階まで緩やかに繋がっていくイメージです。

黒川哲志(エイケー/以下、黒川):お話をいただき、弊社内でつくったプロジェクトチームのメンバーみんなでディスカッションした結果、「LIGハウス」というコンセプトを提案しました。LIG様にはキャラの立った人達がたくさんいて、さらに外部からLIGに魅かれて集まる人達を受け入れながら、この街に根付こうとしています。それは、家族の変化と共に成長していく家のようなもの。多種多様なものやことを受け入れることができる大きな器をつくるというコンセプトは、最後までブレることがありませんでした。

吉原:提案を聞いてピンときました。僕自身、あまり仕事とプライベートを分けない考え方で、会社のあり方として暮らすように、遊ぶように仕事をするのが好きです。オフィスにキッチンがあるのも、誰かが料理をしたら一緒に食べる人が出てきてそこにコミュニケーションが生れるからなんです。それってすごく家的ですよね。もともと実家がロッジを経営していて、商売と家庭がくっついているような家でした。両親もスタッフも同じ場所で暮らしているところにお客さんも泊りに来るので、大家族感はありましたね。

小池:吉原さんのルーツはそこにあったんですね。

吉原:そういう緩やかな繋がりが好きなんです。

――企業理念の「Life is Good」はオフィスにも反映されていますね。

吉原:たいていの人は人生において仕事が占める割合が大きいと思うんですよ。それと同じように家庭に占める割合や友達と過ごす割合も大きい。それをぜんぶひっくるめてGoodにする仕事環境や働き方のスタイルをつくりたいという思いはありますね。

LIGっぽさが伝わる空気感

――現場で印象に残っているエピソードはありますか?

吉原:解体してみたら梁はかなりヤバかったですね。

小池:現場は既存の仕上げを解体するところからスタートしましたが、既存の天井を解体したら近年まれにみるほど梁がボロボロな状態でした。というより、過去に工事に入った業者があまりにも粗雑な工事をしていたことが明らかになって、ビルオーナーさんにもすぐに伝え、躯体補修という想定外の工事が発生しました。

吉原:そういえば、今となっては懐かしいですが、荷物用のダムウェーターもありましたもんね。

黒川:ダムウェーターはオフィスとしての機能上、撤去したかったので、ビルオーナーさんに連絡を取っていただいて、撤去の可否や将来的に原状復帰する必要があるのかなど、折衝させていただきました。

吉原:1階の路地に面したテラスに塀を付ける、付けないなど、結構やりながら考えましたね。

小池:僕は途中でセレクトショップの話がいきなり出てきたことにびっくりしましたね。でも、話を聞いてみるとLIGさんらしい内容で納得できました。

吉原:そうそう。入口すぐの空間はどうあるべきかという話になって、いろいろな土地に拠点があるので、物産を集めてセレクトショップをつくったら面白いんじゃないかと。

黒川:LIGのみなさんは決断が早く、やりたいことがはっきりしていたので、急な変更事項があっても走りながらベストな選択肢を見つけていくことができました。

吉原:僕達も施主としてオフィスや店舗をたくさんつくっているし、実際に自分達で手を動かしているから、どれくらい大変で時間がかかるかもわかるんですよね。

――手づくり感もLIGっぽさといえますね。

吉原:それこそ、長野・野尻湖のゲストハウスLAMPのスタッフは、ほぼ大工みたいなことをしています。豪雪地帯なので冬場は雪囲いをするんですが、グリーンシーズンになったら全部外して、囲っていた板がウッドデッキになるんですよ。新オフィスの駐輪スタンドなんかも、エンジニアが「ちょっと車を貸してください」と材料を買い出しに行き、その日の午後には完成していましたね。

小池:それはレベルが高いですね。

黒川:そういえば、ある日、小池が現場からペンキまみれでオフィスに帰って来たのでどうしたのかと聞くと、コワーキングスペースのテーブルをつくっていたと。

吉原:このテーブルですけどマジでカッコいいです。

――新しいオフィスに移転した感想をお聞かせください。

吉原:路面のファサードの開口部が大きくてすごく気持ちがいいですね。地域の人達に対して「ここにLIGという会社ができました」とすごくわかりやすくアピールできます。すぐに見つけてもらえるのでお客様をご案内しやすくなりました。カフェと間違えて入って来られる人もいたりしますが。

小池:1階はガラス面が広く、開放的だし、外から一見するとカフェのように見えるのも、すごくいいですよね。

吉原:それから、1棟のビルを借り切っているのでコミュニケーションが取りやすくなりました。緩やかな繋がりのあるフロアを行き来して、いろんな部署を見て話をしています。

――このオフィスを拠点に会社をどのように発展させていきたいですか?

吉原:海外を含めていろいろなところに拠点があるので、社員が帰ってきたときに「ウェルカム」と言える場所にしたいですね。対外的には、ここに来れば「LIGってこういう会社なんだ」とわかるようにしたいです。会社案内の資料を用意するよりも、空気感が伝わることが大事だと思っています。

図面に起こさない“こだわり”を大事に

――今回、エイケーにデザインを依頼しようと思われた決め手は?

吉原:副社長の大山から紹介があり、いい提案をしてくれると聞きました。もともとコンペをお願いしていて、各社1回目のプレゼンが終わるところで大急ぎで提案していただいたんです。そうしたら、我々が大事にしているイメージや空気感を的確に掴んでくれていて、「じゃあエイケーさんで」とその場でお願いしましたよね。

黒川:プレゼンが終わったその場でというのは、私も初めての経験でした。

吉原:見積りの額だけじゃなくて、大切にしているフィーリングをくみ取れるかだと思うんですよ。お二人がそこをくみ取ってくださったのは大きいですね。後ですごく思ったのは、小池さんとフィーリングが合うなと。つくってくれたテーブルもそうですが、カッコいいと思う感覚が合っている人とやるほうが話は早いですよね。

小池:味のあるものが好きなんですよ。

吉原:それを汚れととるのか、味と言えるかですよね。過去にもいろいろな物件をやってきて、図面に起こせない部分のこだわりってすごく大事だと思っているんです。最後の仕上げやあしらいをパースに起こすのは効率的ではないし、現場でいじりながら考えていくほうが早いと思うんですよね。それが、質感やニュアンスみたいなところに生きてきますね。

――吉原さんから見たエイケーの強みをお聞かせいただけますか。

吉原:3つのキーワードで表すと「提案力」「調整力」「実現力」です。最初の提案で捉える力がすごいと思いました。その先のプロジェクト管理では、イレギュラーなことへの対応や交渉ごとを施主とオーナーの間に入ってちゃんと調整してくれました。どんなに提案がよくても調整できなければ現場はグダります。描いたプランニングを実現する力があってこそ、安心して任せられて、出来上がったものに満足できます。

――エイケーから見たLIGさんの強みは?

小池:社員一人ひとり個性があって、それがすごくいい。それでいて、会社がまとまっているのは、吉原さんをはじめトップにいる方々の人間力ですね。素敵な会社だと思います。

黒川:小池が言ったとおりですが、それを3つのキーワード表すと1つは「キャラクター」。2つ目は、それを統一するLife is Goodという「軸」があって、それを経営陣をはじめ全社員が実践していることです。そして「オープンネス」。LIGがどういう会社でどういうことをしようとしているかが社員に浸透していて、私達にも伝わってくる風通しのよさがあり、気持ちのよいプロジェクトでした。

小池:工事は完了していますが、ついここへ来たくなります。

吉原:それが大事です。会社だからではなく、何の用もないけど行きたくなる空間を、僕は大事だと思っているんですよ。

[企業紹介]
株式会社LIG
2007年設立の台東区上野発のWeb制作会社。展開する事業は、コンテンツ制作、ゲストハウス、コワーキング、飲食、教育、地方創生と幅広く、社員による「LIGブログ」はオウンドメディアの成功事例として知られている。近年は、コワーキングスペース「いいオフィス」のフランチャイズ化、フィリピンでの事業拠点立ち上げなど、海外を含む各地へLife is Goodの理念を広げ、わくわくすることに挑戦している。

[プロフィール]
吉原ゴウ
株式会社LIG 代表取締役 社長
1982年、長野県生まれ。中学校を卒業後、農家、カヤックインストラクター、雀荘、アダルトショップ店員を経て、Webデザイナーに。 その後独立し、2007年に株式会社アストロデオを設立。2012年に株式会社LIGと合併し現職。

小池康仁
株式会社エイケー 海外事業マネージャー
2014年、エイケー入社。お客様の気落ちに寄り添うことをモットーに、現場寄りのデザイナーとして、提案・設計から現場管理までを一貫して担当。海外案件も多く手がけている。趣味はヴィンテージショップめぐり。国内外でインテリア、ファッション、雑貨などを物色して歩いている。

黒川哲志
株式会社エイケー 一級建築士
大学院修了後、建築設計事務所を主宰。2018年にエイケーに入社。店舗やオフィスの内装を中心に、クライアントが本質的に求めているものが何かを考え、クライアントのビジネス発展の一助となること、なにより、そこにいることを心地よいと感じる場を生み出すことをテーマとしている。