GOOD STORY.10

ルブエ 石の花

ADDRESS

SHIBUYA TOKYO

FLOOR SPACE

30㎡

CONCEPT

時を超え、代を替え愛され続けるジュエリーショップ。森を基調とした独創性溢れるデザインかつコンパクトながら落ち着きを感じられる空間に込められたGOOD STORY

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CREDIT

Designer Hiroshi Otsubo
Project Manager Hiroshi Otsubo

老舗ジュエリー店が、新しい路面店へと受け継ぐ想い

ルブエ 石の花様は、祖父の代から続く老舗ジュエリー店。事業形態の変化に伴い、表参道の路面店に移転されました。
店内は緑が美しい森を基調とした独創性溢れるデザイン。コンパクトながら落ち着きを感じられる空間です。本物を見極める眼を持つ3代目社長と共に店舗経営に携わる、店長/二宮様に、「受け継がれる想い」をじっくりとお伺いしました。

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受け継がれる想いと新生石の花

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どういった歴史を経て、今回の店舗リニューアルに辿り着いたのでしょうか

二宮 亜里奈さん(ルブエ 石の花店長/以下、二宮。敬称略):大正12年に祖父が水晶加工・卸業務で起業し、父が東京に進出しました。はじめはデパート、その後代々木にお店を構え、宝石をその場で加工し販売していました。ビーズを組み替えるような感覚でデザインをその場で形にして販売する方法、職人さんを抱えていることが当時としてはすごく斬新なお店でした。

私たちに代替わりした今では、お客様のご要望にお応えするオーダーの販売形態が増えてきた為、そこに特化したお店にしたいという考えがありました。


――商業ビルも多く立地に恵まれた表参道で路面店を選ばれた理由とは。

二宮:お客様が駅から歩いてくる道中にある、色々なお店がとても素敵じゃないですか。ここへ来るまでに、お客様がワクワクした気持ちになれるという意味もあり、今回は表参道の路面店を選びました。


――以前は、原宿に店舗を構えていらっしゃいましたよね。

二宮:原宿はデザインを発信していくパワーがある場所ですが、時代の流れとともに街全体が若くなり、私たちの事業との間に違和感が生じるようになりました。そう言った意味で事業の雰囲気に合った表参道寄りの路面店に移転することにしました。


――新しく店舗を移転する際、どのようなお店にすることを想像しましたか?

二宮:オーダーに特化したお店にすること。これを、打ち合わせを重ねる中で大坪さんに引き出して頂いたっていうのはすごく大きかったですね。実際、新しい路面店に移転してからお客様に見て頂く環境が増えたと感じています。


――1つの場所で長くやり続けるよりも、新規一転新しい風を入れたかったということですか?

二宮:そうですね。私たちは「受け継ぐジュエリー」をコンセプトにしており、先代から長くお付き合いの続いているお客様も多くいらっしゃいます。ですから、最初は店舗の移転にも戸惑いはありました。しかし、大坪さんとの打ち合わせで具体化していくことでイメージも膨らみ、勇気ももらえました。

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繋がったご縁を紡いでいく

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エイケーにお問い合わせを頂いたきっかけとは

二宮:店舗をデザインしてくれる会社のHPをたくさん検索しました。その中でデザインが圧倒的に素敵だったのがエイケーさんです。2018年から2019年にかけて、年末年始はずっとHPを見ていました(笑)。そして、2019年の年明けと共に、思い切って問い合わせをさせて頂きました。

ジュエリー業界は広いようで狭いところがあるのですが、大坪さんは私達が以前から素敵だなと思っていた有名なジュエリー店の設計、デザインをされた方だと伺ってすごくびっくりでした。そのような有名なジュエリー店を手掛けた方と知り合える事はないと思っていたので。

今までも、出会った人とのご縁で商売をして来たので、店舗のデザイン会社を選ぶ中でもこんなことがあるんだなぁ…と感じました。

大坪 寛(エイケー/以下、大坪):最初にお電話にてご連絡を頂いたいた時、年始めでエイケー社内にはほとんどスタッフがいなかったんですよ。石の花様の旧店舗とエイケーのオフィスが近かった為、すぐにエイケーに来社されると社長がおっしゃって。その日出社していた自分とスタッフの2人で対応したことを今でも鮮明に覚えています。

通常、初回ヒアリングの際にはプロジェクトマネージャーと営業担当者が同席し接客をさせて頂くんですが、その時は本当に誰もいなかったので。

二宮:すごくラッキーでしたね。

大坪:私も今回はとてもご縁を感じていて。エイケーに入社した時はまさかジュエリー関連のお仕事がまた出来るとは正直思っていなかったんです。

二宮:エイケーさんは、HPに人の顔を出していらっしゃっているのがすごく素敵ですよね!作った『モノ』を載せてるだけじゃなく、『ヒト』が見える。過去の「GOOD STORY」記事を拝見し、こちらの気持ちに立って考えてくださるんだろうな…という感じがしました。

大坪:それ一番、久土地(エイケー/代表取締役社長)が喜びますね。

二宮:私たちも職人さんに依頼して宝石を作ってもらっているので、作り手が見えるということはすごく安心出来ました。

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エイケーからの提案を採用した決め手とは

二宮:最初に相談した後、すぐに決めさせて頂きました。大坪さんにかけてみよう!と。


――会社ではなく、「大坪」を選んで頂いたということですね。

二宮:たぶん細かいお客さんだなぁって思われてたと思うんですが(笑)。

大坪:まさか、そんなことないですよ。

二宮:本当に、私たちの気持ちを汲み取ってくださって、とことん話し合いに付き合って頂けたのがすごくありがたかったですね。

大坪:僕は、初めてのお打ち合わせで新店舗に対する想いを聞いて、是非、石の花様のお店を作りたいと思いました。


――ジュエリー業界の施工実績がHPに掲載されていない中、エイケーに依頼することに不安は無かったですか?

二宮:例えば、ジュエリー店の施工実績が無くても、こちらの立場に立ってくださるという姿勢が大事だと思っています。それはエイケーさんのHPから感じましたし、大坪さんにお会いして、よりお願いしたいという気持ちが強くなりました。


――当初、デザインのご要望にはどんなものがありましたか?

二宮:元々は、旧店舗で使用していた家具をメインに…という要望でデザインを作って頂きました。しかし、自分たちの代になり、全く新しいコンセプトでお店づくりにチャレンジしてみても良いのではないかという思いもありました。そこで、一度何も無いフラットな状態から新しいデザインを提案してみて欲しいと大坪さんにお伝えしました。

当初の要望通りデザイン案を作ってくださった後で申し訳なかったんですけど…。改めて2つ目のデザイン案を見せて頂いた瞬間、「あ、これだ!」と。


――デザイン案が通るのは、プランナー・デザイナーがどれだけお客様の気持ちを汲むことが出来ていたかの答え合わせになるので、本当に嬉しいことですね。

二宮:私たちの一番の要望としてはリラックス出来る空間にすることだったんです。オーダーに特化した業態を掲げるのであれば、お客様と対話する時間は長くなります。この場所が、お客様や自分たちにとってリラックス出来る空間であることはとても大切なポイントでした。

大坪:これまでの歴史が感じられ、リラックス出来る空間デザインですね。

二宮:アイデアを絞り切るまでとことん付き合って頂けました。

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リニューアルオープンしてから、実際に働いてみての感触やお客様の反応とは

二宮:最初に接客した時、私感動して泣いてしまいました。すごく嬉しくて。普段、自分の接客姿を見ることなんて無かったのですが、新しいお店ではお客様の背面がガラス張りなので、自分の接客している姿がしっかりと見えるんですね。「こんな風にお客様と時間を過ごしていたんだ」と。ジュエリーを通じて空間を共にしている幸せを感じることができ、感極まりました。

もちろんお客様にも素敵と言って頂けます。店内全体もそうですが、グラスルーチェを喜んで(良いと言って)くださるお客様がとても多いです。お客様によって反応されるポイントも違うので、見ていて面白いです。


グラスルーチェ

ミラーの中にモニターを埋め込むシステム。
―採用背景:対面にある森の風景をグラスルーチェに反射させ、森の中にジュエリーが浮かび上がるよう映像演出を施しました。印象的な森のイメージを空間全体に印象づけています。


また、旧店舗にはお客様が座る席がいっぱいあったんですが、今は一箇所になり対話に集中出来る環境になったことが良いですね。


――営業を始めてみて、感じたことを教えてください。

二宮:工事中に見学した時は、実際の空間の狭い広いがわからなくて少し不安になりました。ここに物が置かれた時どうなるんだろうって…感覚が素人なので本当にわからなくて。

自分を励ますように「大坪さんのセンスに任せるしかないよね!」って何度も言い聞かせていました(笑)。大坪さんは「完成したら今よりも空間は広く感じられますよ」と仰っていて。最終的には本当にその通りになったので安心しました。


――内装が出来上がって、その場に立ってみないとわからないですよね。

二宮:そうですね、自身がそこに立つイメージは、出来上がってからじゃないとわからなかったです。工事の途中で見学させてくださるのも、大坪さんの素敵なところですよね。普通は工事中には見学出来ないということもあると思うんですけど、ちゃんと見せて頂けた。

不安があっても、「そこは大丈夫だと思いますよ」って仰ってくださって。安心しながら進めることが出来ました。

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ジュエリーとの付き合い方を伝えたい

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これから、ジュエリー業界でどのような立ち位置でお客様と向き合っていかれますか

二宮:周りの環境は変わったかもしれないけど、やることはぶれずに良い意味でマイペースにやって行きたいですね。「受け継ぐジュエリー」に対しての関わり方がわからない方はすごく多いと感じています。そこに込められた想いを大切にして、形を変えたり、きちんと手を入れながら長く付き合って行く方法について、お会いするお客様にはお伝えするようにしています。本当に良いもの(良質なジュエリー)を身に着けて頂きたいですね。


――常に芯を持ってジュエリーをお薦めしているんですね。

二宮:私自身、両親から受け継いだジュエリーを身に着けていています。両親のジュエリーに対する想いは、存在が無くなってからもジュエリーを通して感じることが出来る。これはすごいことだなぁと思っています。宝石箱を開くと自分の人生がわかる。ジュエリーにはそういう付き合い方や楽しみ方があることを、皆さんにもお伝えしたいですね。

接客ではお客様のニーズを聞くのは当たり前ですが、プラスαとして将来はどのようにジュエリーと付き合っていきたいかということを伺っています。ジュエリーをご提案する中でお客様にも気づきを与えて、ご自身で選んで頂くということにも気をつけています。納得が出来るものを作りたいですし、出来上がった後にも想いを込められるジュエリーを作りたい。ジュエリーを通してお客様に何かを発見してもらうことが出来れば一番嬉しいです。

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最後に大坪が考えるジュエリー店の空間デザインとは

大坪:ジュエリー業界というよりも、どの業界でも今は効率の良いもの、安いものが当たり前になって来ている。本当に価値のある『モノ』やデザインにこだわって、お客様に良質なサービスを提供するぞという想いでやっている人たちが少ない。二宮さんとお話した時に、価値のあるものをお客様にお届けしたいという強い想いが伝わって来たので、僕もその信念に応えたいと思ったんです。

二宮:そこですよね。それはそれは色々と助かりましたね。大坪さんのご経験をフルに活かして頂けたんだなと。今、お店に立っていてそれを随所に感じます。HPにジュエリー店の施工実績が一つも無くても、ジュエリー店舗の経験者と会えるなんて。本当にご縁ですね。

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[店舗紹介]
ルブエ 石の花
2019年7月、創業96年目にして神宮前3丁目の新築テナントへ移転&新装開店を迎える。時代に沿った業態変化を遂げ、
3代目にして初のオーダー特化型の店舗を構える。「受け継ぐジュエリー」をコンセプトに、お客様に寄り添った事業を展開している。完全予約制。

[プロフィール]
二宮 亜里奈 株式会社石の花/ルブエ 石の花 店長
祖父の代から続く老舗ジュエリー店にて店長として接客を担当。いつでもお客様とのご縁を大切に、上質で良質な宝石をご提供することをモットーとしている。店頭では親身になりひとりひとりの想いをヒアリングし、世代を超えて愛される続けるジュエリーづくりに尽力している。

大坪 寛 株式会社エイケー 取締役
内装の世界に入り22年。施工監理からデザイン/設計まで多くの経験を積む。現在は、国内事業のマネージャーとして、お客様から頂く多くのご要望にお応え出来るよう、案件の成約を目的としたプロジェクトの円滑な進行に努める。いつでも丁寧に仕事をすることをテーマとしている。