COLUMN
保育園の内装をデザインする際の7つのポイント!工事費用の相場や注意点も
保育園の内装デザインは、子どもたちの成長と快適な環境を支えるために、非常に重要な要素です。
安全性や機能性、遊びやすさなど、さまざまな視点からの考慮が求められます。
また、保育園の内装工事には、費用の相場や設計に関する注意点も多く、事前に準備をしておくことが大切です。
本記事では、保育園の内装をデザインする際の7つのポイントを解説していきます。
また、工事費用の相場やコストを抑えるための方法、さらに工事を進める際の注意点についても紹介していくため、ぜひ参考にしてください。
保育園の内装をデザインする際の7つのポイント!
保育園の内装は、以下の7つのポイントを踏まえてデザインすることが大切です。
- 基準や制限を理解しておく
- コンセプトを明確にしておく
- 安全を優先した設計にする
- 子どもたちが遊びやすくする
- スムーズな動線を確保する
- 素材にこだわる
- トイレのデザインにもこだわる
ここでは、各ポイントについて詳しく見ていきましょう。
基準や制限を理解しておく
保育園の内装デザインを行う際には、まず各自治体が定める法的基準や規制を十分に理解することが大切です。
児童福祉法に基づき、子どもたちの健康と発達に配慮した環境を整える必要があるからです。
経験豊富な施工業者に依頼すれば法令遵守は徹底されているものの、オーナーとして最低限の基準は把握しておくとよいでしょう。
内装デザインは子どもたちの成長や快適な生活水準の確保に直結しているため、細やかな配慮が必要です。
コンセプトを明確にしておく
保育園には、その保育園ならではの独自のコンセプトが求められます。
「自然光があふれる環境」や「創造性を育むデザイン」など、大切にしたいテーマを明確にすることがポイントです。
コンセプトが明確であれば施設見学を希望する保護者に対し、園の魅力を伝えやすくなり、入園希望者にも好印象を与えます。
デザインには、明るく開放的な空間や遊び心をくすぐる工夫を取り入れることで、学びや成長に寄り添う環境が整います。
保育園のコンセプトは集客に大きく影響するため、細部まで丁寧に検討することが重要です。
安全を優先した設計にする
保育園の内装デザインにおいては、安全面の確保が何よりも優先されます。
子どもたちは転んだりぶつかったりすることが多いため、衝撃を吸収する素材の床や、角が丸く加工された家具を選ぶことが望ましいでしょう。
例えば、クッション素材が施されたドアフレームを使用すれば、指を挟んでしまった際にも痛みを軽減できる可能性があります。
また、保育士が園内の様子を常に確認できるよう、視界を妨げない通路や窓の配置も重要です。
さらに、災害時の避難経路を確保したり、各エリアで色分けを行うことで子どもたちが自分の位置を把握しやすくしたりと、安全性を高める工夫が求められます。
子どもたちが遊びやすくする
保育園は子どもたちの学びと成長を支える場所であるため、遊びやすい環境づくりが大切です。
遊戯室の床には柔らかくクッション性のある素材を使用すると、ケガを防ぐと同時に安全性を向上させられます。
また、回遊性のあるレイアウトにすることで、子どもたちが自由に行き来しやすくなります。
屋内に中庭や天窓を設置すれば雨の日でも体を動かしやすく、光がたっぷりと差し込むことで、開放的な雰囲気を演出できるでしょう。
また、壁の一部を黒板にしたり、アスレチック風の構造を取り入れたりと、子どもたちの創造性を刺激するデザインをプラスするのもおすすめです。
敷地が広い場合は園庭に遊具を配置して、さらに充実した遊びの環境を提供できます。
スムーズな動線を確保する
保育者の動線を考慮することで子どもたちの安全性が確保され、安心して過ごせる空間がつくれます。
例えば、保育室と保育士の作業スペースを近くに配置することで、保育士が子どもたちの様子を随時確認しやすくなります。
また、事務室からも園庭を見渡せるレイアウトにすることで園内全体を把握しやすく、緊急時にもすぐに対応が可能です。
特に、保育士の人数が限られている場合は、動線の効率化が必要不可欠です。
各保育園の事例を参考にしながら保育者の業務効率を上げ、子どもたちの安全を支える動線の確保を目指しましょう。
素材にこだわる
保育園の内装に使用する素材は、機能性や健康面を考慮して選ぶことが重要です。
保育室の床や壁、天井には防音性や調湿性、保温性に優れた素材を使用することで、子どもたちが過ごしやすい環境を実現します。
例えば、珪藻土やシラス壁などを使用すると、ダニやカビの発生を防ぎやすく、アレルギーリスクを減少させることが可能です。
また、外気温の影響を受けにくく、夏は涼しく冬は暖かい環境を提供するため、室内の快適さが向上します。
トイレのデザインにもこだわる
保育園のトイレは、子どもたちが安心して利用できるよう、使いやすさと清潔さにこだわってデザインすることが必要です。
トイレトレーニングを始めたばかりの幼い子どもたちは、少しでも「怖い」「汚い」と感じるとトイレを敬遠しがちです。
よって、明るく自然光が差し込む場所に設置したり、清掃しやすいデザインにしたりと、子どもたちが安心して利用できる環境をつくりましょう。
また、保育士が見守りやすいように配置を工夫したり、子どもに適した高さやサイズの用具を取り付けたりすることもポイントです。
トイレのデザインには、安全面と子どもたちの成長を考慮した細やかな配慮が求められます。
保育園の内装工事費用の相場と内訳
ここでは、保育園の内装工事費用の相場と内訳について詳しく見ていきましょう。
保育園の内装工事費用の相場
保育園の内装工事費用は、坪単価で10万円~40万円が目安とされています。
例えば、30坪程度のスペースを想定した場合、合計で300万円~1,200万円程度の工事費用が必要です。
ただし、設計の複雑さや使用する素材の品質、設備の種類などによって大きく変動する点は理解しておきましょう。
特に保育園は安全性や衛生面に配慮した施設が求められるため、工事内容によっても費用が上下する傾向にあります。
また、エリアや時期によっても施工費用は異なるため、事前に予算を確保しておくことが大切です。
保育園の内装工事費用の内訳
30坪の物件に工事すると想定した場合の内訳と割合、費用目安を以下の表にまとめました。
項目 | 費用目安 | 割合 |
デザイン費 | 30万円~120万円 | 10%程度 |
施工監理費 | 30万円~120万円 | 10%程度 |
内装工事費(天井や壁、床など) | 90万円~360万円 | 30%程度 |
設備工事費(給食・水道・ガス・電気の設備など) | 150万円~600万円 | 50%程度 |
合計 | 300万円~1,200万円 | 100% |
費用の内訳を理解しながら、経験豊富な業者に依頼しましょう。
保育園の内装工事費用を抑える方法
ここでは、保育園の内装工事費用を抑える方法を紹介します。
シンプルなデザインにする
保育園の内装工事費用を抑えるためには、シンプルで機能的なデザインにすることがポイントです。
余分な仕切りや大がかりな造作を避けて、必要最低限の設備と空間を確保することで、工事費用を抑えられます。
特に認可外保育園の場合は、以下の基本的な施設が備わっていれば、行政からの許可も取得しやすい傾向があります。
- 乳児保育室
- 幼児保育室
- 調理室
- 便所
必要性を十分に検討し、メリハリを付けた内装デザインで費用を抑える工夫が大切です。
複数の業者から見積もりを取得する
工事費用を抑えるためには、複数の業者から見積もりを取得して比較することが効果的です。
保育園の内装工事費用は、業者ごとによって大きく異なるからです。
そのため、複数社から提示された見積もりを比較することで、予算に見合った価格で施工してくれる業者を見つけやすくなります。
また、各業者の見積もり内容を確認することで、見落とされやすい費用がないかどうかも把握できるでしょう。
居抜き物件を選ぶ
保育園を開設する際には内装工事をすべてゼロから行うのではなく、居抜き物件を利用することで、コストを大幅に削減することが可能です。
居抜き物件では、前の借主が使用していた設備や内装がそのまま残されています。
それらを生かせば、保育園としての運営に必要な変更を加えるだけで済みます。
スケルトン物件よりも内装費用を抑えられるため、初期費用を抑えながら保育園の開設が実現するでしょう。
特に以前から施設や事務所などに使用されていた物件であれば、既存設備の一部を流用しやすく、工事費用の削減につながります。
補助金を活用する
保育園の内装工事費用を軽減するためには、各自治体や政府が提供している補助金や助成金を利用するのがポイントです。
中でも「保育環境改善等事業」による補助金が代表的です。
これは、病気や障がいを抱える児童の支援を目的とした内装工事や設備設置に対して、補助を受けられる制度を指します。
補助金は、保育園の運営や安全対策を充実させるために活用できる制度が多く、条件が合う場合には非常に有効です。
最新の補助金情報は各自治体や公式サイトで確認し、積極的に利用しましょう。
保育園の内装をデザインする際の注意点
ここでは、保育園の内装をデザインする際の注意点をいくつか紹介していきます。
認可が下りてから着手する
保育園の内装工事を行う場合、自治体からの設置や運営の認可が出てから着手するようにしましょう。
認可外保育園の場合は開園後の届出で済むため、物件契約後にデザインや工事を始めることが可能です。
しかし、幼稚園や認可保育園として運営するためには、自治体の設置許可が必要になります。
工事を進めて許可が下りなかった場合、設計変更や追加工事が発生するリスクがあり、時間も費用もかかってしまいます。
見切り発車をせず、自治体から正式な認可を取得してからデザインや施工を開始するほうが安全です。
余裕を持った工期にする
保育園の内装工事は想定以上に時間がかかることが多いため、計画段階から余裕を持った工期設定を行うことが重要です。
例えば、保育園として使用する物件が事務所など、ほかの用途から変更される場合は「児童福祉施設」への用途変更が必要となります。
また、施設の面積が200m2を超える場合には、確認申請などの手続きが発生し、審査や承認に時間がかかることもあります。
さらに、材料の納期遅延や自然災害など、工事業者の責任ではない不測の事態も起きるでしょう。
そのため、工期の完了日と保育園の開園予定日は、最低でも2週間から1カ月の余裕を持たせることが望ましいです。
この期間を活用して保護者向け内覧会や説明会を開催すれば、円滑な開園準備が進みます。
開園予定日に工事が間に合わない場合は、保護者からの信用を損ねるだけでなく、今後の運営にも悪影響を与えかねません。
こうしたリスクを避けるためにも、余裕を持ったスケジュールで工事を進めましょう。
定期的に工事を確認する
定期的に工事を確認することも大切です。
内装工事が計画どおりに進んでいるか、また設計の意図がきちんと反映されているかを確認するためには、発注者自身も現場を定期的に訪れることが大切です。
特に重要な部分やこだわりを持っている部分は、依頼者自身もチェックし、納得のいく仕上がりになるよう進捗を確認しましょう。
可能であれば建築士に要点を赤くマークしてもらい、法的基準や安全面で問題がないかどうか、注意深く確認するポイントを明確にするのも良い方法です。
人間関係がまだ築かれていない工事業者に、直接指摘するのは難しいかもしれません。
しかし、初日に挨拶をして顔を覚えてもらったり、作業中に差し入れをしたりと、小さな心配りがコミュニケーションをスムーズにし、手抜きのない工事が期待できます。
現場の状況に積極的に関わり、安心して開園を迎えましょう。
保育園の内装工事業者を選ぶポイント
保育園の内装工事業者は、以下のポイントを踏まえて選ぶことが大切です。
- ワンストップ体制かどうか
- さまざまな視点で考えてくれるかどうか
- 安全第一で考えてくれるかどうか
ここでは、各ポイントについて詳しく見ていきましょう。
ワンストップ体制かどうか
保育園の内装工事を円滑に進めるためには、デザインから施工まで一貫して対応できる、ワンストップ体制の業者を選ぶことが重要です。
一つの業者にすべてを任せることで、異なる業者間でのやり取りや調整にかかる手間や費用を抑えることができます。
また、デザインと工事が連携して進むため、設計図と実際の施工の間に齟齬が生じるリスクも低減でき、スムーズに工事が進行します。
反対に、デザインは専門業者に任せて施工を別業者に依頼する場合は、スケジュール管理や費用面での負担が増えて、調整の時間も必要です。
ワンストップで対応してくれる業者であれば、予算を抑えつつスピーディーに完成まで進められるため、ぜひ検討してみましょう。
さまざまな視点で考えてくれるかどうか
保育園の内装は園児や保護者、保育者、さらには園長など、さまざまな人からの使い勝手や、安全性を考慮した設計が求められます。
例えば、保育士が保育に専念できるような使い勝手の良い配置や、保護者が安心して子どもを預けられる清潔で安全な空間が必要です。
そのため、園児が楽しく過ごせる遊びやすい空間の配置など、各立場のニーズをしっかりと理解してくれる業者であれば、満足度の高い保育園が実現します。
特に実績のある業者に相談すると、デザインのアイディアや配置に関するアドバイスも受けられ、希望に沿った保育園が完成します。
理念やコンセプトを反映しながらも、機能性や実用性が兼ね備わった空間づくりを行うためには、さまざまな視点を柔軟に取り入れてくれるかどうかを見極めましょう。
安全第一で考えてくれるかどうか
保育園の内装工事においてはデザインや機能性も重要ですが、何よりも安全性が最優先事項です。
子どもたちは日々、走り回ったり遊んだりと活発に活動するため、ケガや事故を防ぐための安全設計が欠かせません。
例えば、角が丸い家具や滑りにくい床材を採用することで、事故のリスクを減らすことが可能です。
また、保育士が園児たちに目を配りやすい見通しの良い配置や、避難経路の確保なども重要なポイントです。
安全性に関する経験や知識が豊富で、細やかな配慮を行ってくれる業者を選ぶことで、安心して運営できる保育園が完成します。
安全対策への考え方や施工実績を詳しく確認し、信頼できる業者を選ぶことが安全な環境づくりの第一歩です。
まとめ
保育園は、園児が安心して楽しめる環境であることが求められます。
そのため、法令をしっかり守り、安全かつ遊び心あふれるデザインを取り入れることが重要です。
また、内装工事においては経験豊富なプロの業者に依頼することで、保護者も保育士も安心できる空間が実現します。
細部までこだわり、園児がのびのびと過ごせる理想の保育園づくりを進めましょう。
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