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バーの内装デザインの決め方とは?抑えておくべきポイントも解説
バー経営を成功させるためには、おしゃれなドリンクだけではなく、内装デザインも非常に重要です。
落ち着いた静かな空間でお酒が飲めるバーや、周囲の方々と和気あいあいと会話を楽しむバーなど形はさまざまです。
本記事では、イメージに合ったバーを実現するために、押さえておくべきポイントや工事の費用、失敗しないためのポイントをご紹介していきます。
バーを経営予定の方やバーの内装デザインで悩まれている方は、ぜひ参考にしてください。
バーの内装デザインで抑えておくべき4つのポイント
バーには、雰囲気の良い内装デザインが重要になります。
店内の雰囲気が良くなければ、新規顧客やリピーターの獲得に繋がりません。
バーの内装デザインで抑えておくべき4つのポイント
- ターゲット層を絞る
- カウンターの高さやバックバー
- 照明の明るさや配置を決める
- 立地に合わせたデザインを考える
それぞれ詳しく解説していきましょう。
ターゲット層を絞る
バーを成功させるためには、あらかじめターゲット層を絞っておくことが重要です。
ターゲット層を絞ることで、その層が好む内装、音楽、ドリンクの種類に特化させることが可能になります。
たとえば、若者をターゲットにする場合はトレンドを意識したデザインにしたり、音楽に敏感な層には特定のジャンルの選曲をしたりすることが効果的でしょう。
カウンターの高さやバックバー
バーカウンターの高さは、利用する椅子の高さによって決まるので、椅子選びも重要になります。
バーカウンターは「ハイカウンター」「ミドルカウンター」「ローカウンター」の三つのタイプに分類されます。
ハイカウンターでは、バーテンダーとお客様の目線が同じ高さになるため、対話がしやすい環境を作ることができます。
これは活気のある雰囲気を作り出しやすいものの、高い椅子が必要であり、長時間座るのにはあまり適していません。
ミドルカウンターは、飲食に適した高さであり、よりリラックスして長時間過ごすことが可能です。
ローカウンターでは、足が床につくため座り心地が良く、長時間の利用に適していますが、従業員が顧客を見下ろす形になってしまうことがデメリットです。
お店のコンセプトに合わせたカウンターの高さを選ぶことで、顧客が快適に過ごすことができるでしょう。
さらに、バックバーの設計も重要になります。
バックバーは、お酒やグラスが陳列され、バーの顔ともいえる部分です。
バックバーは見た目の美しさだけでなく、作業のしやすさや収納力も考慮してデザインする必要があります。
オーナーのこだわりを表現する場所としても機能するため、デザインには力を入れた方が良いでしょう。
照明の明るさや配置を決める
バーの照明は、お店の雰囲気に大きく影響します。
落ち着いた雰囲気を求めるなら、明るすぎない照明を選び、間接照明を活用すると良いでしょう。
反対に、活動的なバーであれば、ネオンカラーの照明やダイナミックな照明が場のムードを盛り上げます。
また、照明の配置も大切なポイントです。
カウンター上やテーブルの上に照明を設置することで、ドリンクや料理を美しく演出することができます。
調光機能がある照明などを用いて顧客が直接光を見ることのないよう工夫するのも重要です。
バーのコンセプトに合わせて、照明の種類や配置、色温度を慎重に選びましょう。
立地に合わせたデザインを考える
バーの内装デザインは、立地やその地域のニーズに合わせて決めることが大切です。
たとえば、学生街ならカジュアルで価格が手頃なバーが良いでしょう。
ビジネス街では仕事帰りに短時間で利用できるスタンディングバーが好まれるかもしれません。
地域の特性を捉え、それに合わせた内装やサービスを提供することで、より多くの顧客を惹きつけることができます。
バーのコンセプトの決め方と種類
バーを運営するためには、コンセプトとバーの種類をしっかり決めておくことが非常に重要です。
ここでは、バーのコンセプトの決め方とバーの種類について詳しく解説していきます。
バーのコンセプトは5W2Hを意識する
コンセプトとは、どのようなスタイルのバーを作りたいかという目的や方向性を定めたものです。
気軽に楽しめるカジュアルなバーや雰囲気を重視したバーなど、コンセプトに応じて内装のスタイルを決定することができます。
どのような顧客に来店してもらいたいのかを想定しておくことで、コンセプトが明確になりやすくなります。
コンセプトを決める際は、以下の5W2Hを意識して決めましょう。
- When(いつ):営業時間や曜日、いつまでに開業するのか
- Where(どこで):出店場所はどこなのか
- Who(誰に):メインターゲットはどのような層なのか
- What(何を):看板メニューは何なのか、フードメニューは何を提供するのか
- Why(なぜ):なぜ開業するのか、お客さんはなぜこの店を選ぶのか
- How(どのように):どのような業態のバーを経営するのか
- How much(いくらで):予算はいくらか、平均単価はいくらか
ターゲットとする性別や年齢、趣味などを絞ることで、バーの種類やどんなコンセプトで進めていくのかを決めやすくなります。
バーの種類
バーにはたくさんの種類があり、コンセプトやタイプによって内装デザインも異なります。
ここでは、バーの種類について詳しくみていきましょう。
ダイニングバー
ダイニングバーは、カジュアルに食事を楽しめることが特徴です。
内装は温かみのあるデザインが好まれ、木材を基調とした家具や、照明には暖色系の柔らかい光を使い、居心地の良い空間を作り出すことが重要です。
また、キッチンはオープンスタイルで設計し、活気ある調理の様子が見えることで、エンターテインメントの一部となります。
さらに、壁にはアート作品や写真を飾ることで、よりおしゃれな空間を創り上げることも可能です。
ショットバー
ショットバーは、小規模で親密な雰囲気が求められるため、エレガントな要素を加えると良いでしょう。
バックバーは洗練されたデザインで、さまざまな種類のショットグラスやボトルが美しく映えるように配置します。
照明は暗めに設定し、バーエリアを際立たせる照明を使用することで、高級感を演出することが可能です。
座席はカウンターに限定することで、プライベート感を高めることもできるでしょう。
オーセンティックバー
オーセンティックバーは、典型的なスタイルのバーを指します。
このバーでは大人の雰囲気が漂い、重厚感のあるバーカウンターでバーテンダーが丁寧にカクテルを作っているのが一般的です。
間接照明などを使用して落ち着きある空間を創り出すことにより、リラックスしてお酒を楽しむのに最適な環境を提供することができ、訪れた方々が自然とくつろげるようになるでしょう。
スタンディングバー
スタンディングバーは、その名のとおり立ち飲みが基本のため、活動的でカジュアルな空間が求められます。
内装にはシンプルなデザインが好まれ、動きやすさと清潔感を保つために広々とした開放的なレイアウトが適しています。
床材には滑りにくく耐久性のある素材を選び、狭いスペースでも快適に過ごせるようにすると良いでしょう。
また、壁には大きな鏡を設置して空間を広く見せる工夫も有効です。
ミュージックバー
ミュージックバーは特定の音楽ジャンルにフォーカスした内装が特徴です。
たとえばジャズバーであれば、壁にはジャズの歴史を感じさせるビンテージポスターを飾り、ムードある照明を用いてジャズクラブの雰囲気を演出します。
音響設備も非常に重要で、客席のどの位置からもクリアな音質で楽しめる設計が必要です。
また、生演奏が可能なスペースを設け、ライブ感を体験できる工夫も重要です。
内装全体を通じて、訪れる顧客がその音楽の世界に没入できるような設計が求められます。
スポーツバー
スポーツバーは、スポーツイベントの観戦を楽しむための環境を作ることが重要です。
大型テレビやプロジェクターを設置し、どの席からも画面が見やすいように設置しましょう。
内装はチームのカラーやロゴ、スポーツ関連のメモラビリアで装飾し、ファンが集う場としての一体感を演出します。
座席は試合を観戦しやすい配置にし、グループで訪れた際にも交流が生まれやすいようなデザインが望ましいです。
コンセプトバー
コンセプトバーは特定のテーマに基づいた内装でなければなりません。
たとえば、日本酒をテーマにしたバーでは、和風の装飾や伝統的な日本の美学を取り入れたデザインが適しています。
また、特定の映画をテーマにした場合は、その映画のセットを模した内装が顧客を惹き付けるでしょう。
ターゲット層が絞られるため、その興味を深く掘り下げた内装とサービスを提供することが重要になります。
アミューズメントバー
アミューズメントバーは、エンターテインメントと飲食を一緒に楽しめることが大きな魅力です。
内装はプレイエリアと飲食エリアを区分し、ダーツやビリヤード、ボードゲームなどを設置するのが効果的でしょう。
ゲームを楽しむためのスペースを十分に確保し、同時にリラックスして飲食もできる快適なエリアも設けることが重要です。
照明はエリアによって調整し、プレイエリアは明るく、飲食エリアはやや落ち着かせることで、居心地の良い環境を作り出すことができます。
ガールズバー
ガールズバーは、フレンドリーでアクセスしやすい雰囲気作りが求められます。
内装は明るく開放的で、親しみやすいデザインが特徴です。
バーのカウンターは、対話がしやすいようにハイカウンターで設計すると良いでしょう。
さらに、壁や装飾もポップで明るくすることで、リラックスして楽しむことができます。
バーの内装工事に必要な費用と内訳
ここでは、バーの内装工事に必要な費用とその内訳、バーの内装工事費用を抑えるポイントを解説していきます。
バーの内装工事に必要な費用
バーの内装工事費用は、物件のタイプや物件の状態、バーのコンセプト、立地によって大きく異なります。
特に、スケルトン物件と居抜き物件とでは、費用に差が出やすいです。
スケルトン物件とは、基本的に内装が何もない状態の物件で、内装から全て自分たちで設計し施工する必要があります。
そのため、デザインの自由度は高いものの、全ての設備を新たに導入する必要があるため、費用が高くなる傾向です。
一般的にスケルトン物件なら坪単価30万円〜60万円程度が相場でしょう。
一方で、居抜き物件とは、前の借主から内装や設備をそのまま引き継ぐ形式の物件です。
既存の設備や什器を利用できるため初期投資を抑えられるものの、既存の内装がコンセプトに合わない場合は改装が必要となり、その分の費用が発生します。
居抜き物件の相場は、15万円〜30万円程度です。
また、高級バーなどで内装の素材にこだわったり、特殊な設計を行ったりする場合、坪単価50万円〜100万円とさらに高くなります。
費用の内訳
バーの内装工事費用の内訳は以下のとおりです。
内装工事費用の内訳 | 10坪の居抜き物件 | 10坪のスケルトン物件 |
造作工事費 | 20万円〜50万円程度 | 50万円〜100万円程度 |
厨房設備工事費 | 30万円〜100万円程度 | 50万円〜200万円程度 |
造作家具工事費 | 10万円〜30万円程度 | 30万円〜60万円程度 |
建具工事費 | 10万円〜30万円程度 | 30万円〜50万円程度 |
設備工事費 | 30万円〜60万円程度 | 50万円〜200万円程度 |
合計 | 100万円〜270万円程度 | 210万円〜610万円程度 |
バーの内装工事費用の内訳の中で、造作工事費と厨房設備工事費、設備工事費が大きな割合を占めます。
これらの費用は、内装の全体的なデザインと機能に関わる重要な部分であり、質の高い仕上がりを望むのであれば避けられない費用です。
バーの内装工事費用を抑えるためには?
バーの内装工事費用を抑えるためには、顧客から直接見えない部分の費用を削減することが重要です。
たとえば、倉庫や裏側の設備には、見た目に直接影響しない安価な素材を使用したり、設備や什器に中古品を使用したりすることで費用を抑えることが可能です。
バー用品の中古市場には、質の高い設備や道具が多く出回っており、新品を購入するよりも安価で入手することが可能です。
また、レンタル品を利用することも有効な方法です。
これらの方法を駆使することで、特に開業初期の資金繰りにおいて大きな負担を減らすことができます。
バーの内装工事で失敗しないためには?
バーの内装工事で失敗しないためには、以下のポイントを押さえて計画的に行うことが大切です。
- 内装デザインの統一感を保つ
- 顧客の居心地を重視する
- 予算とデザインのバランスを考慮する
- 実績があり評判の良い工事業者を選ぶ
それぞれ詳しくみていきましょう。
内装デザインの統一感を保つ
内装デザインにおいて統一感を保つことは、バーのブランドイメージを構築し、顧客に快適な場を提供するために重要なポイントです。
バーを経営している多くの方が、さまざまなデザイン要素を取り入れたいと考えています。
しかし、異なるスタイルを複数組み合わせてしまうと、全体の調和が取れず、あまり快適ではない空間になることもあります。
たとえば、バーカウンターとテーブル席が異なるテーマや色で装飾されていると、店全体の統一性が損なわれ、まとまりのない雰囲気に感じてしまいます。
統一感を出すためには、色調、素材、照明などを慎重に選び、全体のコンセプトに合うように設計しましょう。
顧客の居心地を重視する
バーのデザインでは、見た目の美しさだけでなく、顧客の居心地の良さも非常に重要です。
いくら美しい内装であっても、実際に使用する際に不便だと感じれば、顧客はリピートしないでしょう。
たとえば、カウンターの高さが適切でないと、長時間座っていることがつらくなります。
そのため、移動のしやすさやプライバシーを考慮した座席配置など、使い勝手を重視するデザインを心掛けるべきです。
デザインでは、顧客の視点に立ち、顧客を最優先に考えることが重要です。
予算とデザインのバランスを考慮する
内装工事の予算管理は、内装工事をうまく進めるうえで非常に重要です。
美しい内装を実現したいという一心で予算を大幅に超えてしまう方も多いでしょう。
予算内で最大の効果を得るためには、重点を置きたいエリアと費用を抑えられるエリアを明確に分け、バランスを取ることが重要です。
また、複数の建設業者から見積もりを取り、それぞれ比較することで、コストパフォーマンスの高い選択ができます。
実績があり評判の良い工事業者を選ぶ
バーの内装工事は、実績があり評判の良い工事業者を選ぶことが非常に重要です。
実績と評判の良い業者は、質の高い施工と計画的でスムーズな工事が期待できるので、過去の施工実績を確認し、バーの内装工事の経験が豊富な業者を選びましょう。
また、業者のホームページやレビューサイト、SNSなどをチェックし、過去のクライアントの声やフィードバックを確認することも良い方法です。
悪い口コミや評判が多い業者は、できるだけ避けたほうが良いでしょう。
まとめ
バーを開業する際、成功するために重要な要素は、魅力的なコンセプトとターゲットを明確化することです。
理想的なバーのイメージを具体化し、誰をメインの顧客としたいのかをはっきりさせることで、内装デザインの方向性が定まります。
また、バーの内装工事にかかる費用管理も非常に重要です。
工事費用の内訳を事前に把握し、予算を超えないよう注意をしながら、計画的に工事を進めましょう。
本記事で解説した費用を抑えるポイントや失敗しないポイントを押さえて、理想のバーを作り上げましょう。
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