COLUMN

2025.04.08

空間デザインとは?左右する要素や決める際のポイントまで徹底解説!

「空間デザイン」という言葉を聞いたことはあるものの、具体的にどのようなものか分からない方もいるのではないでしょうか。

 

私たちが普段目にする建物やオフィス、商業施設などには空間デザインの工夫が取り入れられています。

 

本記事では空間デザインの特徴や左右する要素、決める際のポイントについて詳しく解説していきます。

 

空間デザインに興味のある方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

空間デザインとは

空間デザインと同じくデザインに関連するものとして、建築デザインや環境デザイン、インテリアデザインがあります。

 

まずは空間デザインとは何か、建築デザインや環境デザイン、インテリアデザインとも比較しながら見ていきましょう。

 

空間デザインの特徴について

空間デザインとは屋外と屋内問わず、空間の設計や装飾を行うことです。

 

建物内のデザインに加え、インテリアや家具などの幅広いデザインを手掛けます。

 

空間デザインが取り入れられている場所は「ショッピングモール」「ホテルのロビー」「ショーウィンドウ」「住宅」などさまざまです。

 

その場所やコンセプトに合った空間デザインを提供することで、その空間を利用する方が快適に過ごせるようになります。

 

空間デザインとほかのデザインとの違い

空間デザインのほかにも「建築デザイン」「環境デザイン」「インテリアデザイン」などがあります。

 

以下で詳しく解説していきます。

 

建築デザインとの違い

建築デザインとは、建物の見た目をデザインすることです。

 

空間デザインでは建物の内側と外側の両方をデザインしますが、建築デザインが手掛けるのは外側のデザインのみです。

 

デザインする建物は芸術的な建物から実用的な建物まで幅広く、例としては以下のようなものがあります。

 

  • 国立代々木競技場
  • モエレ沼公園
  • 国立新美術館
  • 金沢駅
  • 富士山世界遺産センター

 

建物ができたらインテリアデザイナー・空間デザイナーがデザインを行い、完成となります。

 

環境デザインとの違い

環境デザインとは、私たちが生活をするうえで取り囲む環境をデザインすることです。

 

環境デザインが手掛けるものは範囲が広く、空間デザインもその一部といっても良いでしょう。

 

具体的には公園や街並み、建物の環境をデザインします。

 

インテリアデザインとの違い

インテリアデザインとは、家具や照明、インテリアなどの内装デザインを手掛けることです。

 

空間デザインでは何もない状態からデザインを考えるのに対して、インテリアデザインは既にあるものからデザインを考えるため、両者は大きく異なります。

 

内装をデザインする際は、家具やインテリアに関する知識だけではなく、その場所に合った色や素材を正しく判断するスキルも必要です。

 

空間デザインがもたらす効果

空間デザインを手掛けることで、その場所で過ごす方が快適に過ごせるようになります。

 

例えば、広々とした明るいオフィスであれば、従業員同士のコミュニケーションが活発になり、より良い発想が生まれやすくなるでしょう。

 

一方で商業施設であれば、お客様の滞在時間や購入意欲にも影響し、売り上げにも良い影響が期待できます。

 

その場所によって、もたらしたい効果は異なるため、どのような空間デザインが最適かを考えることが大切です。

 

空間デザインを左右する要素

空間デザインを決めるうえで、重要となる要素を3つ紹介していきます。

 

  • ゾーニング
  • 照明
  • 色・素材

 

それぞれチェックしていきましょう。

 

ゾーニング

ゾーニングとは、空間に必要な機能を整理し、それぞれの役割に応じて配置を決めることです。

 

暮らしやすさや使いやすさを高めるための重要な考え方で、インテリアの印象にも大きく影響します。

 

例えば、カフェのような空間をつくる場合、カウンター席は一人で集中したい人や作業をする人向け、テーブル席は家族やグループで過ごす人向け、ソファ席はリラックスして長時間過ごしたい人向けに配置します。

 

このように目的ごとにゾーンを分けることで、居心地の良さと機能性を両立させることが可能です。

 

ゾーニングを意識すれば、スペースの無駄を省き、限られた空間を快適かつ有効活用できるようになります。

 

照明

照明の役割は空間を明るくするだけでなく、その場の雰囲気を変えたり、商品を魅力的に見せたりするなど、さまざまです。

 

例えば、明るい照明であれば楽しく賑やかな雰囲気になり、暗めの照明であれば落ち着いた大人な雰囲気になります。

 

また、商品にスポットライトを当てると商品がはっきりと見えるため、より魅力的に感じられます。

 

お店のコンセプトや客層、販売する商品を考慮して、照明を選びましょう。

 

色・素材

その空間に使用する色や素材も、空間デザインを決める要因の一つです。

 

落ち着いた雰囲気に仕上げたい場合は白やベージュ、グレーなどがおすすめで、明るい雰囲気にしたければ、小物やインテリアに差し色を入れることが効果的です。

 

統一感を出すためにも、使用する色は厳選すると良いでしょう。

 

空間デザインを決める際のポイント

空間デザインを決める際には、以下のポイントを押さえておくことが大切です。

 

  • 店舗のコンセプトに沿って考える
  • 動線を意識する
  • 変更しやすいレイアウトにする
  • 過度な装飾を避ける
  • 差別化する

 

店舗の印象や居心地を大きく左右する要素のため、確認していきましょう。

 

店舗のコンセプトに沿って考える

新しくお店を開店・リニューアルする際に、どのようなコンセプトで営業していくかを考えることは非常に重要です。

 

コンセプトはお店のブランドのようなものであり、他店舗との差別化を図る効果もあります。

 

判断に迷ったときも、コンセプトという軸があることで方向性がぶれず、一貫性のある空間に仕上がります。

 

魅力的で記憶に残る空間デザインにするためにも、コンセプトに沿って考えることが大切です。

 

動線を意識する

店舗の空間デザインを考える際には、見た目の美しさだけでなく、お客様や従業員の「動線」を意識することが大切です。

 

動線とは人が空間内をどのように移動するかを示すルートのことで、スムーズな動線計画は、快適な店舗運営と顧客満足につながります。

 

従業員にとっては厨房やバックヤード、客席を効率よく移動できる動線を確保することで、業務がスムーズになり、サービスの質も向上します。

 

お客様がどのような順序で入店して、どのように移動するかを想定して動線を設計するのがポイントです。

 

動線を意識した空間づくりは、居心地の良い空間に欠かせない要素です。

 

変更しやすいレイアウトにする

店内のレイアウトは、そのときのトレンドや季節によって変更できるものがおすすめです。

 

棚やオブジェなどは簡単に変えられるものを選ぶと、スムーズにレイアウトを変えられます。

 

レイアウトを変更することで、リピーターのお客様にも新鮮さや楽しさを味わってもらえるでしょう。

 

過度な装飾を避ける

店舗のコンセプトに合わせて、壁や窓際に装飾をすることは魅力的ですが、過剰になりすぎるとお客様に圧迫感を与えてしまう恐れがあります。

 

シンプルさを保ちつつも、適度に装飾をして華やかさを演出することが大切です。

 

装飾の例としては「季節に合った小物を置く」「壁に写真や絵を飾る」などがあるため、参考にしてみてください。

 

差別化する

空間デザインにおいても、そのお店ならではの個性を表現することで、他店との差別化を図ることができます。

 

店舗の第一印象は空間の雰囲気で決まることが多く、デザインにオリジナル性があると、訪れた人の記憶に残りやすくなります。

 

例えば、ヴィンテージ家具やアート作品、照明など細部に独自のセンスを反映させることで、空間にストーリー性や独特の世界観を持たせることが可能です。

 

他では体験できない空間づくりができれば、来店のきっかけや話題性にもつながり、自然とリピーターも増えていくでしょう。

 

空間デザインを決める流れ

空間デザインを決めるまでには多様な工程がありますが、主な進め方は以下のとおりです。

 

1.打ち合わせをする

2.デザイン案を確認する

3.施工を進める

 

各ステップについて詳しく解説していきます。

 

打ち合わせをする

まずは、どのようなデザインにしたいのか相談しましょう。

 

どのような雰囲気の店舗にしたいのか、どのようなお客様をターゲットにしているかを明確に伝えることで、方向性が固まります。

 

実際に店舗の候補地を一緒に確認して広さや窓の位置、日当たりなどの特徴を共有することで、より具体的になります。

 

要望だけでなく不安や悩みも率直に伝えることで、より納得のいく提案を受けられるでしょう。

 

デザイン案を確認する

打ち合わせをもとに、デザイナーからデザイン案が提案されるため、CGや図面を見ながら、実際の店舗にどのようにレイアウトが反映されるかを確認しましょう。

 

特に動線や家具の配置、収納の位置が自分の業態に合っているかをしっかりチェックすることが大切です。

 

もし気になる点があれば、遠慮せずに相談しましょう。

 

予算や機能性とのバランスを考えながら調整していくことで、理想に近い店舗が実現します。

 

施工を進める

デザインが決まったら、施工へと移ります。

 

通常は空間デザイナーが施工会社との調整を行ってくれますが、オーナーとしても現場の進行状況を把握しておくことが重要です。

 

可能であれば現場を見に行き、細かい仕上がりや素材感なども確認しましょう。

 

デザイン案通りに施工されているか、動線や使い勝手がイメージ通りかをチェックすることで、オープン後のトラブルも防げます。

 

完成後は引き渡しを受け、いよいよ店舗の運営準備に移っていきます。

 

空間デザイナーの働き方について

空間デザインに興味があり、空間デザイナーを志している人もいるでしょう。

 

続いては、空間デザイナーの働き方を紹介していきます。

 

主に企業に就職するか個人事務所で働く方法に2つがありますが、それぞれで特徴は異なります。

 

どちらが向いているかを考えながら、確認していきましょう。

 

企業に就職して働く

一つ目は企業に就職して、空間デザイナーとして働く方法です。

 

企業ではいくつかの部署に分かれていることが多く、所属する部署によって仕事内容が異なります。

 

企業に勤めていれば大きな事業に携われることもあり、自分の可能性を広げられるでしょう。

 

同じ場所で経験を積み、スキルアップをしたい方に向いています。

 

個人事務所で働く

個人事務所で働くという選択肢もあります。

 

企業に比べてスタッフの人数が少ない分、一人ひとりの担当範囲が広く、プロジェクトのさまざまな工程に携われるチャンスがあります。

 

実践的な経験を積みやすく、仕事の流れを全体的に把握しやすいため、将来的に独立を目指している方にも向いているでしょう。

 

また、複数の事務所で働いて多様な考え方に触れることで、自分自身のスキルや視野を広げられます。

 

一つの個人事務所にとどまらず、さまざまな環境で経験を積みたい方にもおすすめです。

 

空間デザイナーに求められるスキル

空間デザインを考える際には、以下のようなスキルが求められます。

 

  • デザインスキル
  • 建設や設計図に関する知識
  • コミュニケーション能力
  • 提案力

 

空間デザイナーを目指している方はもちろん、空間デザインに関する理解を深めたい方もご覧ください。

 

デザインスキル

色彩やデザインに関するスキルは、空間デザイナーとして働くうえで必須です。

 

その空間にどのような色を用いるのかによって、空間の印象は大きく異なります。

 

カラーコーディネーターの資格を取得したり、デザインに関する本を読んだりすることで、デザインのスキルを身につけられます。

 

建設や設計図に関する知識

空間デザインを考える際に、建築の構造を理解しておくことで、安全を考慮したデザインを作れます。

 

また、空間デザインを考える際は設計図を用いるため、設計図を読み取るスキルも必要です。

 

設計図には建物の上からデザインを見る「意匠図」、建築工法について記載されている「構造図」、配線や配管などに関連する「設備図」などがあります。

 

これらの図を総合的に判断して、設計図を完成させます。

 

コミュニケーション能力

空間デザインを進めるうえで、コミュニケーション能力も重要です。

 

打ち合わせでは、クライアントと意見を交わしながら理想の空間を共有し、方向性を明確にしていく必要があります。

 

関わる相手はクライアントだけでなく、施工業者や各分野の専門家、現場スタッフなど多岐にわたります。

 

それぞれの立場や役割を理解したうえで、デザインの意図を正しく分かりやすく伝えることが大切です。

 

提案力

デザインを分かりやすく伝えることはもちろん大切ですが、立体模型やCAD(コンピューターでデザインを設計して、設計図や図面を作成するソフトのこと)などを使いこなすスキルも必要です。

 

どれだけ素晴らしいデザインを考えたとしても、相手に魅力を伝えられなければ意味がありません。

 

最初は思うように提案できないかもしれませんが、経験を重ねていくごとに提案力が身についていきます。

 

インテリアの知識

その空間に合ったインテリアを選ぶスキルは非常に大切です。

 

インテリアの配置位置や使い方などを総合的に判断し、その場所を利用する方が快適に過ごせるように想像力を働かせましょう。

 

「インテリアプランナー」の資格では、インテリアに関する知識や技術を学べるので、気になる方はチェックしてみてください。

 

まとめ

この記事では空間デザインを左右する要素やポイント、必要なスキルについて紹介しました。

 

空間デザインは店舗のコンセプトを視覚的に伝える手段であり、お客様の居心地の良さにも影響します。

 

見た目の美しさだけでなく動線や機能性、空間の雰囲気まで含めたトータルな設計が求められます。

 

空間デザイナーを目指す方はもちろん、店舗やオフィスの設計に関わる方も空間デザインの考え方を理解しておくと良いでしょう。

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