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大理石とは?なぜ高いのか特徴や注意点など建築での疑問を解決
家の新築やリフォームで大理石に興味を持つと、その種類の多さに迷ってしまうこともあるでしょう。
高級感があり魅力的な素材である一方で、価格が高いため、メリットとデメリットをよく理解した上で検討したいと考える方も多いはずです。
この記事では、建築素材としての大理石の種類や特徴を詳しく解説します。
また、大理石が高額になる理由や使用時の注意点についても紹介しているので、見積もり相談の際の参考にしてください。
大理石について
大理石は、建築材や装飾材として広く使われる素材のひとつです。
住宅では床材として使用されるほか、インテリアではカウンターやテーブルなどに用いられることが多くあります。
大理石とはどのような石?
大理石は自然石の一種で、炭酸カルシウムが主成分となっています。
世界中で産出されていますが、主な産出国はカッラーラ大理石で知られるイタリア、白やベージュなどの淡い色が多いトルコ、ペンテリック大理石が有名なギリシャ、マクラ―ナ大理石が産出されるインドが有名です。
イタリアのカッラーラ大理石は、ミケランジェロの彫刻に使用され、インドのマクラーナ大理石は、タージマハルにも使われています。
マグマの熱で石灰岩が再結晶化したものを大理石と呼び、石灰岩には遺骸などの自然物が沈殿しています。
大理石ができるまでには、数億年にわたる期間が必要とされるため、化石が残っているものもあるほどです。
しかし、日本の建築業界や石材業界では、装飾性のある石を採石し、加工したものを総称して大理石とされています。
御影石との違い
御影石と大理石の違いは主に硬度にあります。
御影石は硬度が高いため、細かい加工にはあまり向いていません。
一方で、大理石は加工しやすいため装飾品などに使われますが、御影石は耐久性に優れているため、屋外の建材として適しています。
御影石の名前は、兵庫県神戸市の御影地域で産出されることに由来します。
しかし現在では、御影で採石されたものに限らず、花こう岩など外観や強度が御影石に似た深成岩も、一般的に「御影石」と呼ばれています。
床材として建築で人気
大理石は高級感があり、床材として人気の素材です。
その光沢やマーブル模様は、格式高い雰囲気を演出できる大理石ならではの魅力といえるでしょう。
一方で、石材としては比較的柔らかく、風雨や酸性雨に弱いため、外壁などの屋外建材には向いていません。
そのため、建材としては主に屋内で使用されます。
大理石の種類
大理石とは、石灰岩がマグマの熱や圧力によって変成した岩石のことを指します。
本記事では、大理石の種類ごとの特徴や種類の見分け方について解説します。
天然大理石
天然大理石は、海底や川底などの岩石層で水中の溶解物が堆積し、化学反応や圧力によって固まり、カルシウムカーボネートの堆積物となります。
海底などの地下では高圧と高温のため、結晶化して岩石になったものが大理石です。
天然大理石の色や模様は、形成される場所の地質や存在する鉱物に影響を受けるため、さまざまな大理石が存在します。
美しさと耐久性を兼ね備えている天然大理石は、多くの建築や芸術作品に使われ、高く評価されています。
人造大理石
人造大理石は天然大理石に見えるようにつくられた合成素材で、天然大理石の高級感が得られる建築素材として人気があります。
高価で加工が難しい天然大理石に対し、人造大理石は加工しやすくコストも抑えられる上に、耐久性が高く建材として人気です。
製造の際には天然大理石のマーブル粉末を使用しているため、天然大理石に似せた外観となっています。
耐久性の高さとメンテナンスのしやすさから、建物の内装や外装、装飾品などに天然大理石の代替品として使われる人気の建材です。
テラゾー
テラゾーは樹脂やセメントに粉砕した天然大理石を混合させたものです。
かつては、固める際にセメントを使用したものを「セメントテラゾー」と呼び、樹脂を使用したものを「レジンテラゾー」と分類されていました。
しかし近年では、どちらも一般的に「人造大理石」と呼ばれることが多くなっています。
クォーツストーン
クォーツストーンは、天然の水晶を樹脂で結合したものをいいます。
水晶の含有率が93~95%と高く、天然素材に近いことが特徴です。
日本の住宅設備メーカーでは、主にキッチンカウンターや洗面カウンターに使用されており、ハイグレード品として取り扱われています。
人工大理石
人工大理石も人造大理石と同じように、天然大理石に似せてつくられた合成素材です。
天然大理石の代替品として多く使われています。
天然大理石は見た目の美しさや質感が人気ですが、高価な上に硬度が高く加工が困難なため、代わりに人工大理石が使われることが多くあります。
見た目や質感を天然大理石に似せているため、コストを抑えて大理石の雰囲気が感じられ、さらに加工のしやすさを兼ね備えていることが特徴です。
大理石の見分け方
人造大理石と人工大理石は、見た目だけで材質を区別するのは難しいです。
これは、それぞれの定義が明確に定められていないことや、メーカーごとに異なる定義が使われていることが大きな理由です。
カタログの説明でも、はっきりと区別が記載されていない場合が多く、混乱しやすいでしょう。
不明な点がある場合は、直接メーカーに問い合わせることをおすすめします。
建築で大理石を使うメリット・デメリット
建築において大理石は、特に床材として人気がありますが、大理石を使うとどのようなメリットがあるのかを解説します。
また、建材として大理石の使用を検討している場合、デメリットについても確認しておきましょう。
メリット
大理石といえば高級感のある素材として知られていますが、実はそれだけではありません。ほかにも多くの魅力的なメリットがあるため、ここで詳しく見ていきましょう。
高級感がある
長い年月をかけて形成された美しい模様と、独特の質感や光沢は、大理石ならではの高級感を演出します。
そのため、格式の高い建築物に多く用いられ、空間に洗練された雰囲気を与えてくれます。
耐久性にすぐれる
大理石は傷が付きにくく耐久性に優れているため、長持ちすることもメリットといえます。
傷ができても表面にやすりをかけると簡単に修復でき、磨けば光沢を取り戻せるため、長期間にわたってキレイな状態を保てます。
掃除がしやすい
フローリングやカーペットとくらべて、大理石は石でできているため表面が硬く、床に何かを落としても汚れが浸透しにくく、拭き取りやすい特徴があります。
汚れが付いても、すぐに掃除をすればシミになることなくきれいに拭き取れるでしょう。
また、大理石は輝きがあり光を反射する素材で、自然な風合いの模様が美しいため、汚れが目立ちにくいというメリットもあります。
空間が広く見える
大理石の光沢は、床の下に広がる空間があるかのような奥行きを感じさせ、空間を広く見せる効果があります。
特に淡い色の大理石は、光をさまざまな角度から反射しやすいため、その輝きによってより広々とした印象を与えるでしょう。
デメリット
大理石にはメリットだけでなくデメリットもあるため、建材として使用する際にはその両方をしっかり理解しておくことが重要です。
費用が高額
大理石はほかの素材とくらべて高額なので、使うことを諦める人も多いでしょう。
採掘や加工などに手間がかかるため、どうしてもコストがかかってしまいます。
使用する面積が大きければ大きいほど予算に大きく影響するので、設計の際にしっかりと検討することが大切です。
割れることがある
大理石はフローリングよりも硬いですが、衝撃に弱く、ひび割れが生じたり割れたりすることがあります。
重いものを落とすなどの衝撃をあたえないように、注意が必要です。
また、物の重量に関係なく、落としたものが割れやすいことも大理石のデメリットといえるでしょう。
転んだ時に危険
大理石は天然石のため非常に硬く、フローリングやカーペットとくらべて、転倒時の衝撃が大きくなります。
特に頭を打ってしまった場合には、重大なケガにつながる恐れがあるため、使用場所や安全対策には十分な配慮が必要です。
建築で大理石を使う注意点
建築で大理石を使用する際には、いくつか注意しておくべきポイントがあります。
ここでは、大理石を使う際の主な注意点について解説します。
施工するハウスメーカーへの相談が必須
家の建築で大理石を使う場合、次のように2つの方法があります。
- ・自分で大理石を購入して施工してもらう
- ・既製品やオーダー品を購入する
どちらの場合もハウスメーカーへの相談は必要ですが、特に注意が必要なのは自分で大理石を購入する場合です。
既製品やオーダー品は、ハウスメーカーを通して手配することが一般的ですが、自分で購入する場合は、施工前に必ず相談しましょう。
大理石に限らず、重量のある素材を設置する際は、床や下地の補強が必要になることがあります。
使用する場所や石の重さについて事前に相談しないと施工ができず、トラブルになる可能性があるため、注意が必要です。
原石での購入はリスクが高い
ハウスメーカーに依頼するよりも、石材店から直接購入した方が安く購入できてお得だと考える人もいるでしょう。
しかし、石材店から原石を購入するのはリスクが高く、注意が必要です。
石材店で購入する大理石は、原石のほかに板状にしたスラブ材や、スラブ材をタイル状にカットした規格品があります。
原石だと石の塊のまま購入することになるため、内部でクラックと呼ばれるひび割れが起きていても、保証の対象になりません。
納品方法
石材店で購入した場合の納品は、1階部分での軒下渡しが基本です。
原石での購入や規格品でも枚数が多い場合、スラブ材で1枚が大きい場合など、サイズや重量に関係なく軒下で受領します。
自分で運び込むことが難しければ、人手が必要なため、事前に手配しておかなければなりません。
運送費が高額になることにも注意が必要で、見積もりの際には運送費や納品方法についても細かく確認をしておきましょう。
大理石にする場合のリフォーム費用相場
新築だけでなくリフォームでも大理石は人気がありますが、多くの方が気になるのはやはり費用ではないでしょうか。
ここでは、リフォームで大理石を使う際の費用相場について解説します。
玄関の床を大理石にする場合
玄関のリフォームで床材に大理石を使用する場合、一般的な費用相場は1㎡あたり約2万円です。
ただし、大理石の価格は石のグレードや産地によって大きく異なります。
低価格帯のものであれば1㎡あたり約1万円、一方で高級グレードの大理石を選ぶ場合は1㎡あたり5万円程度を見込んでおくとよいでしょう。
その他の費用について
リフォームで床材として大理石を新たに使用する際は、大理石そのものの費用に加えて、さまざまな追加費用がかかります。
主に必要となる費用は以下の通りです。
- ・床を剥がす費用
- ・廃棄処分費用
- ・運搬費
- ・養生費
特に、既存の床を剥がす作業と剥がした床の廃棄処分には、2万〜3万円程度の費用が相場といえます。
また、大理石は重量があるため、場合によっては床の下地補強が必要になることがあります。
この場合は、上記の費用に加えて補強費用もかかることがあります。
リフォーム費用は業者によって異なるため、複数の業者に見積もりを依頼し、比較して選ぶことが重要です。
また、工事後に追加料金が発生しないよう、見積もりにすべての費用が含まれているか、追加料金の有無を必ず確認しましょう。
まとめ
大理石がどのような石なのか、その特徴やメリット・デメリットについて解説しました。
高級感があり、格調高い雰囲気を演出できる大理石は、新築やリフォームにおいて人気の建材です。
特に床材として使用されることが多く、空間を広く見せる効果も大きな魅力のひとつです。
とはいえ、費用が高額になることから、導入をためらう方も少なくありません。
記事内でもご紹介したように、大理石の価格はグレードによって大きく変わります。
「高いから無理」と決めつけずに、まずはハウスメーカーや施工業者に相談してみましょう。
予算内で取り入れられる可能性もあります。
まずは見積もりを取り、理想の住まいづくりに大理石を取り入れることを検討してみてはいかがでしょうか。
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