COLUMN
<美容クリニック開業に向けて②>とても重要な動線計画の考え方
スタッフの視点になって計画する
前回は「美容クリニックのデザイン」についてお話ししましたが、今回は平面計画にかかる際に最も重要な「動線計画」について書いていきたいと思います。
デザインの話は集客及びリピートという観点から、そこを訪れる患者様の視点から導き出されるものの比重が大きかったですが、平面計画を考える上では日常クリニックを使用するドクターや看護士、スタッフの方々の意見を伺いながら、患者様・スタッフ双方が動きやすい設計をする様心掛けています。
動線計画の3つのポイント
美容クリニックの動線計画をする上で重要視しているポイントを3つ挙げます。
1. 表動線と裏動線
2. 回遊動線の計画
3. 通路幅の確保
計画地の形や規模、クライアントの考え方によって変わりはありますが、基本となるこの3点について、以下解説して行きます。
1. 表動線と裏動線
店舗でもオフィスでも住宅でも、どんな用途の空間でも同じく、人がどう動くかを考えて部屋の配置をしていくことが大前提になります。
美容クリニックでは「患者様の動線、スタッフの動線、機器の動線」という3つの動線を考える必要があります。
この3つの動線を考えるにあたり、「表動線と裏動線」とを分けて考える必要があります。
表動線とは「患者様の動線」を指します。待合から通路を通ってクリニックの奥に入っていき、診察室や処置室、オペ室などの各諸室へとアクセスする動線のことです。
裏動線とは「スタッフの動線、機器の動線」に関わるものです。スタッフが各処置室やオペ室へ患者様の通る通路とは別のルートでアクセスする動線です。スタッフ側の部屋である準備室側から各処置室へと直接入ることが出来るように計画しておくことで、治療の効率や安全性・プライバシー保持の点からも効果的となります。高価な美容機器などを処置室間で移動する時にも、裏動線を通すことで患者様側から見られることなく安全に移動することが出来ます。
裏動線をしっかりと確保した平面計画を行うことが、美容クリニックのポイントとなります。
2. 回遊動線の計画
ある程度床面積が大きく処置室数が多いクリニックになると、表動線が長くなり終点が行き止まりになることがあります。そうなると患者様の移動距離が長くなり患者様同士がすれ違う機会が増えたり、処置室への機器の移動が大変になったりとスタッフのオペレーション的にも煩わしさが増すこととなってしまいます。
このような場合には、表動線が一周できるような回遊動線を作ることが有効です。中央に準備室などのバックヤードを設けることで、隣接する処置室へのアクセスを確保するとともに、四周のどの位置へもスタッフがアクセスしやすい様プランを検討することが重要です。
3. 通路幅の確保
どんなにエントランスに素敵なデザインを施したとしても、通路で人とすれ違う度に肩がふれあいストレスを感じるようでは意味がありません。クリニックの規模により表動線の必要通路幅は変わってきますが、基本的には有効寸法で1200mmを確保することを基本としています。
しかし小規模のクリニックで通路長さが短い場合には900mm程度とすることも可能です。逆に床面積200㎡以上の場合には、建築基準法施行令119条により、片側居室の場合は通路の有効幅1200mm、両側居室の場合は1600mm以上を確保する、という規制がかかるので注意が必要です。
裏動線の寸法は使用する機器によりますが、通路は機器を移動しやすいようにまっすぐ通し、有効寸法で900mm以上を確保します。また通路の片側に棚や手洗いなどを設置し準備室として有効活用することになりますので、人が通路側に立つことを考慮して余裕を持った有効幅を確保しておく必要があります。
最後に
動線の計画は、美容クリニックにとって生命線です。日常クリニックを使用されているドクターやスタッフの方々は、皆様それぞれお考えの理想像があるかと思います。それらを取り入れながら機能的で効率よく使いやすい美容クリニックの計画を行いたいと考えております。
弊社ではプランの提案を無料で行なっておりますので、美容クリニックの出店をお考えの際はぜひお気軽にご連絡下さい。
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