COLUMN

2023.03.24

〈ホストクラブ設計術 01〉いかに接客しやすく、売上を上げる店舗をつくるか

「実感値」を、どれだけ設計・デザインに反映できるか。

通常の集客滞在型の店舗デザインでは、オーナーの意向や好みが反映されることが多いのですが、ホストクラブの設計・デザインにおいては、働く現場の方々のニーズが重視されることが多い現状があります。これは、レイアウトや店の作り方や席の作り方への「経験則」、売り上げを上げやすいお店の環境への「実感値」が、収益に大きく影響を与えるためだと考えられます。

新たな店舗で働くマネージャークラス、幹部クラスの方々には、当然これまでの実績がありますから、どのような集客を実現してきたか、今後どんなお店としてきたいか等、理想や意向が如実に収益に影響するとオーナーも配慮を示す傾向があるためでしょう。また「人が商品である」ことから、実際のお店で働くホストの方々の意向や要望も、人の発揮する価値≒働きやすさや接客のしやすさという価値につながり、結果的に顧客の満足度向上に寄与します。必然、大きく売上や利益に影響を及ぼすと考えられます。

 

 

 

”カブリ”解消の実現は、顧客・ホストの「共通課題」。

例えば、”カブリ”と呼ばれる「ご法度」。ゲストであるそれぞれのお客様の視線が合ってしまったり、同じタイミングで同じ空間にいると感じられたりすることは避けたいものです。もちろん、意中のホストが他の客席に就いていると明確にわかってしまうことは、ゲストにとっては気分を害することにつながります。さらに、同じタイミングで席を立ち化粧室に行くなど、相互に顔を合わせることも避けなければなりません。

ホスト同士であっても、相互に意識するような空間づくりは避けたいもの。No.1とNo.2のホスト同士、順位が近くお客様の好みが競合しがちなホスト同士など、お客様からの指名が重複するホスト間の”カブリ”は、避けることが求められます。

席間の「間隔」はもちろん、メインフロアとVIPフロア、大型店舗の場合にはNo.1ルームとそれ以外など、空間同士の作り方からこれらは考えることが可能です。視線の方向性や空間の認識の仕方を工夫することで、お互いを意識しない・させないプランづくりが実現できます。

 

 

 

 

ゾーニングやレイアウトに、デザインの「意義・意味」があるか。

一方、相互の空間や視線を区切るべく目線の高さまで壁で区切りたいと考えても、風営法により客席区画は高さ1mを超えない壁の設置までしか許可されていません。ここに「見えそうで、見えない」デザイン上の工夫や独自性のある設計の意義があるのです。

例えば、照明を通じたデザイン。そもそも女性は特に、顔がはっきり見えることよりも間接的に光が当たることで表情に陰影が生まれ、美しく魅力的に自分を見せることができると考えています。この「意識」を逆手に取り、光のコントラストの効用から「空間的に仕切られている」安心感や距離感を生み出すことが可能です。パーテーションやカーテンといった具体的なモノを導入することが難しい場合にも、この方法は有効です。

また、前述のように、まずはデザイン性よりもホストの方々が接客しやすいと感じるゾーニングやレイアウトを作ることを、第一に考えることも欠かせません。例えば密着度の上がるR型ソファ、その寸法を通常よりも短くするなど、レイアウトとその「意味」を本質的に考えることから、あらゆるサイズや距離感が変わってきます。もちろん顧客の満足度は大きく異なるはずです。

 

 

 

 

「レイアウト・マネジメント」力が、店舗の収益のカギに。

ホストクラブの設計・施工実績を通じてわたしたちエイケーが更に気づいたのは、これらレイアウトプランの「マネジメント」の力こそ、店舗の流行を左右するという事実です。

例えば、席数。単純に多ければ良い訳ではなく、単価を如何に高めるかを考えた方が売上アップに貢献することもあります。単価が15万円を超えるシートでも、毎日埋まる店舗も存在します。一方で席数を取ることで単価を抑え、回転数を獲得できた、改装して売上規模が3倍になった、という嬉しい声が寄せられることもあります。この戦略的な「マネジメント力」こそ、本質的に収益を高められる店舗運営の力になっていくのです。

『あの席に座りたい』―それは、人が商品であることはもとより、お金を払う顧客自身が、空間という見えないものにも「対価を払いたい」というニーズを抱かせる設計力だと、わたしたちは考えています。空間デザイン力のみでなく風営法の知識や経験も踏まえながら、これら「マネジメント力」を高めていくお手伝いをさせていただきます。ぜひお問い合わせください。

 

 

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