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クリニックの内装工事のポイントとは?工事の手順や相場、内訳について解説
クリニックの内装工事は、患者様にとって心地良い空間を提供するために非常に重要です。
しかし、クリニックを開業したいけど何に気をつければ良いかわからない方も多いでしょう。
この記事では、クリニックの内装工事を行う際の重要なポイント、費用の相場と内訳について詳しく解説します。
クリニックの内装工事をする際のポイント
クリニックの内装工事において一番大事なことは、患者様ファーストの設計です。
クリニックは、患者様が利用する場所になります。そのため、患者様が安心安全、そして快適に過ごすことができる空間をつくることが重要です。
ここでは、クリニックの内装工事をする際のポイントを解説します。
クリニックごとの内装イメージを決めておく
クリニックの内装は、患者様の安心感や治療への信頼感を与える上で非常に重要です。
そのため、あらかじめどのような内装を作るのかイメージを決めておくことが大切になります。
以下では、内科と美容外科、歯科、小児科それぞれの内装のポイントについて解説します。
内科
内科クリニックの内装は、患者様がリラックスして治療を受けられるような温かみのある空間が望ましいです。
自然の素材を感じさせる木目調の家具を使用し、ナチュラルな色使いを基調とした穏やかで心地良い環境を作り出します。
待合室には、快適な座席や読書用のスペースを設け、観葉植物などを配置することで、リラックスして待ち時間を過ごせるような空間にしましょう。
美容外科
美容外科クリニックの内装は、洗練されたスタイルと高級感が求められます。
空間デザインにはモダンでスタイリッシュな要素を取り入れ、明るく開放的な印象を与えるために自然光や照明を効果的に活用しましょう。
また、患者様同士が遭遇しないプライバシーに配慮した工夫が必要です。
待合室やカウンセリングルームは、デザイン性の高い快適な家具を配置し、リラックスして相談を受けられるようにしましょう。
細部にまでこだわることで、患者様のクリニックへの期待や信頼、信用を高めることが可能です。
歯科
歯科クリニックでは、お子様から大人まで幅広い年齢層が訪れます。
そのため、明るく清潔感のある内装が望ましいです。
白を基調とした色彩で清潔感を保ちつつ、ポップなアートやカラフルな装飾を加えることで、訪れる方々にリラックスしてもらえる空間を作り出します。
小児科
小児科の内装は、お子様にとって明るく楽しい空間作りが大切です。
壁には鮮やかな色彩のイラストや親しみやすいキャラクターを用いて、お子様が興味を持ちやすいようにしましょう。
また、遊び心あふれる家具や安全なおもちゃを配置し、リラックスして診察を受けられるよう配慮しましょう。
特に安全性に注意し、怪我のリスクを減らす設計を心がけることで、お子様も保護者の方も安心できる空間となります。
各部屋のスペースを意識する
クリニック内の各部屋のスペース配分は、機能性と快適性のバランスを考える上で重要です。
特に待合室は患者様が最初に接する空間であり、快適でリラックスできる環境を提供することが求められます。
余裕のある座席スペースを確保し、清潔感のあるデザインを心がけましょう。
また、本やテレビ、お子様用の遊び場を設けることで、待ち時間のストレス軽減が可能です。
診察室や治療室も同様に、患者様とスタッフの動線を考慮した設計が大切になります。
患者様ファーストの設計を心がける
クリニックの内装設計では常に患者様を最優先に考えることが不可欠です。
利便性の確保やプライバシーの保護を徹底しましょう。
たとえば、車椅子やベビーカーでも移動可能なバリアフリー設計や診察室におけるプライバシーを保護するための十分な防音対策などが挙げられます。
患者様がストレスなく診察を受けられるよう、細かいニーズにも配慮した設計を目指しましょう。
電気や空調設備
クリニックの内装工事では、電気と空調設備の適切な配置と整備が不可欠です。
特に大型医療機器の導入には十分な電力供給が必要で、場合によっては電気容量の増強が求められます。
また、患者様の快適さを保つためには、診察室や待合室に効率的な空調システムを設置することも重要です。
部屋数の多いクリニックでは、エアコンの台数や室外機の配置計画も、内装設計において重要なポイントになります。
法規制に触れない設計にする
クリニックの内装工事では、法的規制を遵守することが必須条件です。
建築基準法や医療関連の規則、消防法などの法規制を事前に理解し、設計段階から遵守することが重要です。
特に、安全性や衛生面、バリアフリー対応など、患者様の安心・安全に関わる項目については、細心の注意を払いましょう。
法規制に準拠した設計を行うことで、患者様に信頼されるクリニックを実現できます。
そのためには、専門知識を持つ設計者や業者との連携が不可欠です。
内装工事にかかる期間を把握する
クリニックの内装工事をする際に完成までの期間を把握することも重要なポイントです。
内装工事期間は、戸建て開業かテナント開業かによって大きく異なります。
戸建ての場合は約10ヶ月、テナント開業の場合は約3ヶ月の期間を見積もるのが一般的です。
このため、戸建ての場合は開業予定日の約1年前、テナントの場合は6ヶ月前に工事を開始するのが望ましいでしょう。
期間の見積もりを正確に行い、計画的な工程管理をすることで、スムーズな開業準備が可能となります。
通いたくなるクリニックの内装例
クリニックの内装は、患者様が通いたくなるような空間作りも必要です。
では、どのような内装が通いたくなるクリニックなのでしょうか。
ここでは通いたくなるクリニックの内装例をいくつか紹介します。
余裕のある空間
クリニックの内装では、余裕のある空間づくりが重要です。
狭いと感じられる空間は圧迫感を与え、患者様に居心地の悪さを感じさせてしまう可能性があります。
余裕を持った広々とした空間は、訪れる人々に安心感と快適さを与えることが可能です。ゆったりとした空間は、患者様がリラックスし、心地良く過ごせる環境を作り出すでしょう。
落ち着いた雰囲気
クリニックは患者様にとって不安を感じる場所でもあります。
そのため、内装で温かみのある色使いと柔らかな照明を取り入れて落ち着いた雰囲気にすることが大切です。
特に待合室は、安心感を与える雰囲気作りを徹底しましょう。
心地良い色調と照明は、身体や心に不調を抱える患者様に対して、安心感を与えます。
患者様が居心地の良さを感じることで、「また来たい」と思っていただけるでしょう。
おしゃれな設計
たとえば、観葉植物は、おしゃれさを向上させるだけではなく、リラックスできる空間に変える効果があります。
さらに植物には視覚的にストレスを軽減するという効果も兼ね備えられているので、積極的に取り入れると良いでしょう。
また、病院特有の雰囲気を和らげる効果もあり、インテリアの一部として病院の内装をよりスタイリッシュで心地良いものにする手助けにもなります。
クリニックの内装工事費用の相場と費用の内訳
クリニックの内装工事には、坪単価や設計費用などさまざまなコストがかかります。
ここでは、その相場と内訳を詳しくみていきましょう。
クリニックの内装工事費用の相場
クリニックの内装工事を計画する際には、費用の相場を把握しておくことが重要です。
費用は、坪単価や設計費用などによって変動します。
ここでは坪単価と設計費用について詳しく解説します。
坪単価
クリニックの内装工事の坪単価は、場所によって大きく異なります。
一般的な相場は約40万円~/坪です。
しかし、施工する面積や物件の種類(スケルトン物件or居抜き物件)、必要な医療機器の種類などによって大きく変動します。
坪単価を把握することで、全体の工事費用の概算が可能になり、予算計画が立てやすくなるでしょう。
設計の費用
クリニックの内装設計にかかる費用も、規模によって大きく異なります。
一般的に全体工事費用の10%〜20%、または工事面積あたり5〜8万円/坪が目安です。
高品質なデザインや特別な要望がある場合、大幅に超えることもあります。
設計費用は、クリニックの機能性と印象を高めるための重要な投資なので、十分に計画し、患者様にとって最適な空間になるようにしましょう。
クリニックの内装工事費用の内訳
クリニックの内装工事費用の内訳は、デザイン・設計費用、内装工事費、設備費用の3つに大別されます。
ここでは、それぞれの内訳がどのように予算に影響するかを詳しく見ていきます。
デザインと設計費用
デザイン・設計費用は、クリニックの規模や状況に応じて異なるため相場は設定されていません。
算出方法は主に、総工事費の10〜20%を基にする方法や、坪単価から算出する方法、そして人件費や技術料を基にする方法があります。
小規模なクリニックでは最低料金を設定することもあり、特殊な施工を行う場合の技術料が加算されることもあるでしょう。
内装費用
内装費用は約60万円~/坪ですが、診療科や治療内容、物件の形態によって大きく変動します。
特に手術室や大型医療機器の設置が必要な場合は、床の耐荷重対策も必要です。
物件の種類によっても坪単価は変わり、居抜き物件では既存の設備の状態を確認する必要もあるでしょう。
クリニックの内装費用は複雑なので、施工業者と相談することが必要です。
設備費用
クリニック運営には、医療機器や備品の購入が必要です。
機器や備品のリストアップと購入費用の予算立てが重要になります。
また、診療科や治療内容に応じて必要な設備機器や備品が異なるため、適切に揃えることがクリニックの機能性とサービス品質を高めるでしょう。
クリニックの内装で失敗しないためのポイント
ここでは、クリニックの内装で失敗しないポイントをいくつか紹介します。
動線区分の明確化
クリニックの内装で失敗しないためにもクリニック内のスペースをもとに、患者様とスタッフの動線を明確に区分することが重要です。
受付から診察室、処置室への動線を一方通行に計画し、スタッフの業務動線が患者様の流れと交差しない設計にすると効率的な流れが実現できます。
給水排水の位置確認
テナント物件でクリニックを開業する際、既存の給排水溝の利用可否は重要な判断基準です。
流し台やトイレなどの給排水設備は設置位置によってはクリニックのレイアウトに制約が生じやすいです。
特にトイレの排水管は延長するのに制限があり、建物の配管設備に合わせた工事が必要です。
オーナーや他の入居者の許可が必要な場合もあり、想定外の費用がかかる可能性もあります。
そのため、テナント契約前には専門的な調査と計画が重要です。
適切な業者を選ぶ
クリニックの内装工事において、適切な業者を選ぶことが大切です。
業者を選ぶ際は以下の4つを判断基準としましょう。
専門業者なのか
クリニックや歯科医院の内装は一般住宅とは異なり、専門的な知識が必要です。
素材選びから配慮すべきポイントまで、クリニックの条件にあった要件を満たす必要があります。
そのため、内装業者選びの際は、専門の業者かどうかを確認することが重要です。
コンセプトや経営に対して理解があるか
業者がクリニックのコンセプトや経営方針を理解することは、より適切な内装案を提案できるため重要です。
これにより、患者様に安心感を与え、クリニックのブランドを強化して満足度を高める効果が期待できます。
施工実績の有無
業者選定において、施工実績は品質と信頼性の重要な指標です。
特に、クリニックの内装工事は専門知識が必要なため、同種施設の豊富な経験を持つ業者を選ぶと良いでしょう。
多くの場合、業者の公式サイトでこれらの実績を確認できます。
適切な内装費用か
内装工事の適切な費用を判断する際には、相場との比較が重要になります。
市場の相場から大幅に離れている金額を提示する業者は注意が必要です。
高すぎる見積もりは不必要なコストを招き、一方で安すぎる場合は品質に問題がある可能性があります。
相場に合っているバランスのとれた予算設定で、コスト効果の高い内装工事を目指しましょう。
相見積もりを行う
クリニックの内装工事において、相見積もりはコストを最適化するための有効な手段です。複数の業者から見積もりを取ることで、費用の比較が可能となり、最も適切な業者を選定しやすくなります。
ただし、費用のみで選定するのは避け、仕事の品質や実績、口コミなど総合的に考慮することが重要です。
まとめ
クリニックの内装工事においては、事前に内装のイメージを決定し、相場を理解しながら適切な業者を選定することが重要です。
適切な費用を見極めるために相場と比較し、相見積もりを取ることが効果的でしょう。
この記事を参考にして、患者様に喜んで通っていただけるようなクリニックの内装を実現しましょう。
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