COLUMN

2018.10.04

〜ホストクラブ設計術 02〜 「立地を生かした設計とは」

ニーズの多様性こそ、立地の魅力。

新宿・歌舞伎町には、およそ250件を超えるホストクラブがあり、恐らく全国で一番多い激戦区であると言われています(当社調べ)。この数字は概算値でしかありませんが、大阪を代表する繁華街であるミナミの凡そ2倍に相当する数字なのだとか。この「日本一だからこそ、挑戦してみたいのだ」というオーナー様からのご依頼の声も弊社にいただきますし、やはり圧倒的な知名度のある地域でもあり、有名店などもあることが、歌舞伎町の魅力につながっているのでしょう。
必然、多くのお客様がこの地域に集まってきます。そのことが、あらゆる異なるタイプ、異なるニーズに応え続ける必要性を生み出し続けているとも言えます。弊社でも立川や大阪など、他にも競合他社が密集した地域に出店する計画に携わってまいりましたが、そういう激戦区や集積地で開店し、営業を継続していくことで、サービスの品質や顧客満足度の向上が図られ、結果的に「人気のあるお店」を生み出しやすくなっていくという面もあるかもしれません。どんなお客様にも、満足していただける人対人のサービスであるという多様性が、立地の最大の魅力になっていくことが、まずは言えるのだと考えています。

 

 

限られた自由度でどこまで戦えるか、が勝負。

そんな歌舞伎町ですが、まさに激戦区ならではの「回転率」も特徴の1つ。店舗設計やデザインにおいてベースとなる「居抜き」によって、店舗を使えるケースが多いと言えます。
しかしその代償として受け入れなければならないのが、デザインの自由度が限られてしまうということ。法規制などの制限上、またその土地やビルの成り立ちによって、内装等の改修工事ができないケースが多いことはあまり知られていません。極端な場合、ビル名を聴いた瞬間に「あれは動かせない」と判明することもあります。既存の状態を維持するため、前のオーナーの意向が色濃く反映されている等の背景からか、どうしても「どこかで見たことのある、似たようなデザイン」の店舗も多く、大型店舗も限られます。
これらのケースでよくあるのが、改修のための交渉からスタートする必要が発生するということ。大型店舗の場合は一度壊すことができるケースも多いのですが、風営法上の規制なども踏まえ、例えば30-40坪程度の限られた空間にどのような工夫が盛り込めるか、知恵の絞りどころとなります。

 

 

立地の「ギャップ」を生み出した、ラウンジ風エントランス。

そんな中で工夫を盛り込んで成功した実績例としては、比較的クローズな立地で、いわゆる「男っぽい」黒い色調の既存店で挑戦したエントランス(入口)が挙げられます。一般的に入ってすぐ席が見えた方が良いか否かは、集客方法と連動して好みが別れるところですが、逆にホテルのラウンジをイメージしたレイアウトをご提案したことがありました。これが、意外にも大きな成功に結び付いたのです。女性的な視点で立地を見直したことが契機となって、狭くて暗く見えがちな店舗の場所から「ギャップ」を感じられ、明るく広がる店内へと誘導する効果が生まれ、大いに人気を集めるポイントになりました。
また、この事例は業界内で衝撃をもって迎えられ、大変な話題を集めることにも成功。競合同士でお互いの店舗をよく観察していることも背景にはあるのでしょう。同じデザインをそのまま活用するよりは、設計・デザインの創意工夫が活かせた事例として、未だに弊社にお声がけをいただく契機となっています。

 

 

 

 

立地の余裕と、必要性のせめぎ合いを、デザインで解決。

また立地条件に余裕がある大型店舗の場合、トイレの作り込みは意外なほど大切になっています。VIPルームからそのまま行ける御手洗いをつくることや、パーテーションでしっかり仕切りをつくること等で、お客様同士が鉢合わせることを避ける、以前のコラムでも記載した”カブリ”を避け、無用なトラブルも回避できる効果が生まれるためです。一方で立地の余裕如何に関わらず、最小限のスペースにするのがクローク。購入してきたプレゼントなどは「魅せたい」というニーズを叶えるためには、かえって荷物は店内のソファやテーブルに置かせてあげたいものです。
今後の課題として一考する価値がありそうだと思うのは、ホストの皆様の更衣室。着替えられれば、と考えるオーナー様は多いのですが、働きやすさはもとより、お客さまからいただいたプレゼントの収納方法などにも工夫やデザインの力が活かせるスペースが生み出せそうな気もするのですが、いかがでしょうか。もちろん、立地的余裕との兼ね合いや課題もありそうです。
ひしめき合う立地の中、お客様と働き手の密接な関係、そして何より価値ある空間であるという認識を、どのように独自性をもって生み出すか。設計・デザインにできることのすべてを、わたしたちはご一緒に考えてまいります。ぜひお問い合わせください。