COLUMN

2020.04.17

〈失敗しない美容クリニック 02〉開業資金と融資の基礎知識 〜テナント契約、内装工事から人件費まで〜

「失敗しない美容クリニック開業」第2回目は、美容クリニックの開業にあたり必要な資金の内容と調達の方法、開業資金のムダを省く方法などを解説します。

 

美容クリニック開業費用の特徴

クリニックの開業時に必要な費用としては、次のようなものがあげられます。

  • 土地建物・テナント契約費用
  • 建築・内装工事費用
  • 医療機器・設備費用
  • 薬品・備品費用
  • 初期の人件費・光熱費
  • 諸費用(税金・医師会費・広告宣伝費など)

美容医療の分野では技術革新のスピードが速いため、美容クリニックでは最新機器導入により多くの費用がかかる傾向です。

また、美意識の高い女性患者がメインとなるクリニックが多いため、内装・インテリアにも他の診療科と比べ十分な予算をとる必要があるでしょう。  

 

 
借り入れや融資の内訳は?

 

ある調査によれば、全額自己資金で開業できたクリニックは全体の23%。

7000万円以下の借り入れや融資を受けたクリニックがもっとも多く、1億円以上の調達を行ったドクターも全体の23%に達したそうです。

一般的には、クリニック開業資金のうち自己資金額は少なくとも全体の5~10%、平均で10~20%以上が望ましいといわれており、残りは日本政策金融公庫や福祉医療機構・民間銀行からの融資、親族等からの借り入れなどで賄います。

返済不要な資金調達として「創業補助金」も考えられますが、金額は上限200万円と限られており、あくまでも一部充当分と考えるべきでしょう。

また親族からの資金提供は、のちに「贈与」と見なされると追徴課税の可能性も出てきますので、できる限り「貸借」の形式が理想的です。

いずれも金額・金利・返済期間や審査内容などをよく比較して選択しましょう。

 

融資の審査時に必要なもの

 

融資を受けるためには、収支計画を含めた確かな事業計画の作成が不可欠です。

そのほかにも、

  • 直近2年間の確定申告書
  • 建築費や内装費の見積書
  • 医療機器の見積書
  • クリニック周辺の来院患者数見込み(診療圏調査データ)
  • 住宅ローン等個人負債・借り入れ状況の証明書
  • 自己資金高を示す通帳のコピー

など、審査に必要な書類は多岐に渡ります。

 

開業資金を抑えるポイント

 

クリニックの設備は充実しているに越したことはありませんが、安定した経営のためには、本当に必要な機器設備に絞り込んで初期投資し、あとは必要に応じて補充していくのがベター。

リースや割賦(かっぷ)を利用すれば、固定資産税や保険等の管理手数料がかからずコストカットに有効です。

また、病院勤務からすぐに開業せず先輩開業医のもとで一定期間勤務すると、個人クリニックに必要な機器や薬品のストックなどの目安が分かりやすくなります。

医療広告では、看板や新聞などの印刷物に制限が多く、クリニックの特徴やメリットが伝えにくい面があります。

クリニックのWEBサイトを開設すれば比較的広告費用が抑えられるうえ、一定の条件はありますが、より具体的な宣伝広告がしやすく、地図アプリ等でも見つけてもらいやすくなります。

 
おわりに

 

今回は、美容クリニックの開業時に欠かせない資金と融資の知識について解説しました。

次回は「失敗しない美容クリニック」の必須条件となる「立地」について取り上げますので、ぜひ参考にして下さい。 

 

 

参考記事:〈失敗しない美容クリニック 01〉開業までにチェックすべき3つのポイント 〜開業資金・立地・内装デザイン/施工会社選び〜
https://www.ak-co.jp/column/clinic-01/