COLUMN
病院内装デザインの基本ポイントと工事費用を徹底解説!
病院内装デザイン1つで、患者様の満足度に大きく影響します。
しかし、内装デザインの知識がなくて困っている方や、注意点がわからないとお悩みの方は多いのではないでしょうか。
本記事では、病院内装デザインの基本ポイントから工事費用まで解説します。
病院内装デザインの基本
病院内装デザインをする際に、おさえておきたい基本を解説します。
清潔感のある内装
清潔感のある内装とは、相手を不快にしない最低限のマナーと言い換えることもできます。
患者様は居心地の良い病院に来院したいと思っているため、デザインだけでなくシミや匂いが付きにくい素材にこだわることでより洗練されたデザインの効果を発揮できます。
常日頃から清潔感のある内装を維持するためには、1週間に1度や3日に1度などの定期的な掃除が欠かせません。
明るい内装デザイン
明るい内装デザインは、「ポジティブな気分になる」「病院が広く見える」「おしゃれな雰囲気を出せる」などとメリットが豊富にあるため、積極的に取り入れると良いでしょう。
たとえば照明を暖色系にすることによって、患者様が落ち着いた雰囲気で病院を利用することができます。
待合室は他のスペースに比べて待ち時間が多くなる傾向にあり、周囲の環境が目に入ることが多いです。
また、明るい内装デザイン以外に、鏡を設置したり家具の間隔をとってみたり、空間を広く取る工夫をすると居心地の良い印象を与えられます。
プライバシーに配慮する
病院内装デザインの基本の1つは、プライバシーを配慮することで患者様と円滑なコミュニケーションをとり、信頼関係を築くことです。
例えば、入院施設や診療室などでは、他の患者様と仕切りをするパーテーションの設置や壁に防音材を入れるなど、安心して相談できるスペースを作ることが重要です。
内装をデザインする際に、プライバシーを保護して患者様が自分の状態をありのままで話せる環境作りを徹底すると、良い診療に繋がり長く通いやすい病院を実現できます。
バリアフリーへの対応
病院内装デザインの基本は、バリアフリー法において高齢者の方や障害者の方が利用する「特別特定建築物」に指定されているため、2000㎡以上の新築・改築・増築・用途変更する際に「建築物移動等円滑化基準」に適合する義務があります。
病院の場合、出入り口に段差を設けずスロープにしたり、スロープも傾き1/12以下にしたりするなど細かな基準が定められています。
バリアフリーに対応した内装デザインにすることによって、高齢者の方や障害者の方でも病院内での移動が容易になるでしょう。
患者様とスタッフの導線を確保
病院内装デザインの基本は、患者様とスタッフの動線を確保し、スムーズな移動や利用ができることで満足度の向上に繫がります。
動線スペースの確保を考えるときには
- 不要な段差はないか
- 車いすでも通れるか
- スタッフの通る通路はあるか
などを確認すると良いでしょう。
動線スペースを考慮したのちに内装デザインを決めるというフローで進めていくと、理想的な内装を作れます。
広いスペースを確保しておくことで落ち着いて利用できるため、リピーターや新規顧客を獲得できるでしょう。
曲線を取り入れて柔らかい印象に
曲線を取り入れることで自然と気持ちにも丸みが出てきたり、高齢者や小さなお子様にもケガ防止として安全に利用してもらえたりするメリットがあります。
例えば、腰を掛けるソファや受付の机に角がある場合は、危険で冷たさやプレッシャーを与えてしまうおそれがあるでしょう。
そのため、病院の内装デザインを決定する際は丸みを帯びたインテリアを導入して、落ち着きのあるやわらかい空間づくりを目指すのがおすすめです。
安心感を与えられるデザイン
安心感を与えられるデザインにすることは、緊張や不安を感じやすい病院には重要なポイントです。
温かい照明や穏やかな雰囲気の内装をすることで、安心感を与える効果が生まれます。
上記の丸みを帯びたインテリアを利用することも、安全と安心感の両方を与えることが出来るメリットがあります。
法令順守したデザインの徹底
病院内装デザインの基本として、法令順守したデザインの徹底をすることが前提条件です。
バリアフリー法による特別特定建築物の指定や、建築基準法、都道府県の規定等に従うことが重要です。
病床数のない病院の場合は、建築基準法の特殊建築物に当てはまらないため、自由な内装デザインを施すことができます。
ただし、特殊建築物に当てはまる病院は避難経路や防火設備の基準が厳しく設けられているため、設計事務所や建築士などに確認をするのがおすすめです。
色を用する
色を利用する
色のそれぞれが持つ特徴を利用する、基本を解説します。
ブラウン系の内装
ブラウン系の色は、木のイメージから気持ちを落ち着いた状態にしてリラックスさせてくれる効果があるため、病院のインテリアにおすすめです。
また、ブラウン系の色は自然の色で植物と相性が良い特徴を持っているため、トーンの同じグリーンと組み合わせてみると、統一感のある空間を作ることができます。
暗めのブラウンは重厚感がありつつ、高級感もあふれるエレガントな印象になっています。一方、明るいブラウンは優しく自然とマッチするような明るい印象になっており、同じブラウンでも色の具合によってさまざまな表情があるのです。
グリーン系の内装
グリーン系の色は、植物の葉っぱのような自然をイメージさせることから心理的にも目が疲れにくい色として知られ、リラックス効果があります。
緑色は寒色に分類されますが、赤の温かさや青の冷たさの印象に比べてどちらにも当てはまらないことから中間色といわれています。
介護施設や高齢者向けの施設にグリーン系の色が使われることが多いです。
ブルー系の内装
ブルー系の色は、空・海・水などといった広大な自然のイメージから信頼感や清潔感を与えたい際に最適です。
しかし、ブルー系を全面的に出しすぎると冷たい感じや冬の寒いイメージに繫がるため、ワンポイント程度におさえると良いでしょう。
ホワイト系の内装
ホワイト系の色は、光を反射する最も明るいと知られる色で、暗い色をより引き立てる効果をもち、定番カラーは白といわれるほどに病院では代表的な色です。
また、白色は信頼感や清潔感といったクリーンなイメージを与えるため、高い好感度を持ち、他の色と組み合わせても違和感なくマッチします。
ピンク系の内装
ピンク系の色は、見る人を和ませる優しい印象や幸福感を与える色のため、レディースクリニック・産婦人科や小児科などに適しています。
緊張をやわらげてリラックスさせる効果もあり、病院のインテリアに向いています。
診療科別の内装デザイン
診療科別のポイントを解説します。
歯科
引用:エス歯科クリニック
歯科の内装デザインは、温かみを重視した電球や、患者様に落ち着いていただけるように配慮した内装でリラックスできる空間を与えることが大切です。
エス歯科クリニックは、ブロンズとマーブル調の大理石からアシンメトリーな要素を取り入れることで、モダンでスタイリッシュなサロンのような印象を与えています。
整形外科
整形外科の患者様は、松葉杖や車椅子を使用される方も来院されるため、そのような方でも快適に利用できるようなバリアフリーに配慮した内装にしましょう。
例えば、出入り口の通路を広くとり、スロープの導入や壁に手すりを設置するなどの患者様にとって移動しやすい空間を作ることで快適さに繋がります。
整形外科の内装デザインは、患者様に安心感を与えるために床や壁面に清潔感と美しさを兼ね備えた素材を選んだり、照明を明るくしたりして、清潔感を演出することが大切です。
小児科
お子様にとって病院は不安に感じやすく、病院特有の雰囲気が苦手といった理由から、安心感を与える内装作りが重要です。
安心感を与えるためには、パステルカラーなどやわらかい壁色や木目のインテリアを用いたり、インテリアも角がない安全なものを取り揃えたりするなどの配慮をすると良いでしょう。
また、ケガ防止の配慮や感染症対策をすることも必要です。
小児科はお子様だけではなく保護者の方も同伴するため、ベビーカーでも利用しやすい空間なのかを配慮するなど、保護者の方の目線に立って考えることも大切です。
内科
引用:みぞぐちクリニック
内科は他の診療に比べると身近なクリニックのため、安心して通えると思っていただけるような清潔感や明るい雰囲気を作り出すことが大切です。
設計のポイントは、診療室と処置室を近くにすることで、患者様の移動の負担を減らすことができ、満足度の向上につながります。
待合室の混雑時に、体調の悪い患者様がゆっくりとできるようなソファを置くことも、患者様への配慮の1つです。
内科の中にも神経内科や消化器内科などさまざまな種類があるため、診療内容や患者様の層に合わせた内装を決めましょう。
美容外科
美容外科は、他の診療科に比べて気軽に利用できるなどのコンセプト設計や、美容目的での受診で来られる方も多いため、清潔感をより重視した内装を作ることがポイントです。
美容目的で来院した患者様は、美しい新たな自分に変わりたい期待感と同時に不安を抱えている方も少なくありません。
そこで、リラックスできる環境や落ち着いたベース色を取り入れることで居心地の良い空間を作ることができれば、安心感に繫がります。
また、パウダールームを取り入れることで治療や施術後に化粧をして帰宅することができるため、お客様の満足度をあげて継続的に来院していただけるでしょう。
外科
外科は、内科と重要な点にあまり違いはありませんが、医療機器を多く使用することによって配線が複雑になる問題があります。
患者様の通るスペースに配線が通っている場合は、つまずく危険性がある上見栄えが悪くなるため、スタッフが利用するスペースにできる限り整えることが重要です。
病院内装デザインの工事費用
費用はいくらかかるのか?工事費用から内訳まで解説。
病院内装費用の目安
病院の内装費用の目安は、約10万円〜50万円(坪単価)と一般的にいわれています。
費用は使用するデザイン・部屋数・材質などによって変わるため、設計事務所や内装工事業者に見積もり相談をしてみることが大切です。
工事費用の見積もりは1社に限定して行うのではなく、何社かに相見積もりを取って相場を知ることでより良い選択が可能になります。
おすすめするのは最低でも3社以上に相見積もりを取ってから、総額費用を比べた上で決断することです。
MRIやCTなどの大型機器を導入する際は、通常の電気量ではたりないため、キュービクル式高圧受電設備を取り入れる必要により費用が大きく発生します。
内装費用の内訳
内装費用の内訳を紹介します。
- 仮設工事
- 電気工事
- 空調設備工事
- 塗装工事
- 給排水衛生設備工事
- サイン工事
- 防災設備工事
- 内装仕上げ工事・建具工事
- 汁器工事・換気設備工事
これらの項目から内装に必要となる基本のレイアウトや病院の診療科ごとの役割、動線スペースの確保やデザインのコンセプト設計、などが決定することで総額費用の見積もりがわかります。
重要なのはコンセプト設計をすることです。理想的なプランがみえてくるため、どのような病院を実現したいのかをしっかりと描きましょう。
想像以上に時間がかかった場合でも、重要なポイントをおさえることで理想とする診療所に近づきます。
診療科別の工事に必要な面積
工事に必要な面積は開業形態によっても変わりますが、一般的に言われている診療科別の目安を紹介します。
診療科の中でも整形外科は、検査装置やリハビリテーションをするスペースが必要になるため、最低60坪の広い面積を確保することが重要です。
眼科の面積は手術をするかしないかで変わるため、手術を行う場合は最低でも50坪以上は一般的に必要とされています。
反対に手術のない眼科は、30〜40坪の面積が一般的です。
診療科別の面積を紹介します。
診療科 | 面積(坪数) |
内科 | 35坪~50坪 |
小児科 | 30坪~40坪 |
整形外科 | 60坪~ |
耳鼻科 | 30坪~40坪 |
皮膚科 | 30坪~40坪 |
眼科 | 30坪~40坪 50坪以上(手術あり) |
病院内装の工事費事例
病院内装の工事費用には、さまざまな工事費が含まれているため、仮に25坪で内装工事を施した場合に、どれほどの費用がかかるのかを費用事例から参考にしましょう。
内装工事費用の内訳 | 25坪の病院内装工事にかかる費用 |
仮設・解体工事 | 約60万円 |
建具工事 | 約160万円 |
軽量鉄骨・ボード工事 | 約130万円 |
内装仕上げ工事 | 約130万円 |
家具・汁器 | 約160万円 |
給排水衛生設備工事 | 約130万円 |
電気設備工事 | 約150万円 |
空調設備工事 | 約180万円 |
防災設備工事 | 約50万円 |
その他 | 約100万円 |
総額 | 約1250万円 |
病院に最適な内装とは
内装別にどのような効果があるのか紹介します。
余裕のある空間
余裕のある空間を実現すると安心感や居心地の良さが生まれ、また来院したいと思っていただける可能性が高くなります。
また、余裕のある空間は他の患者様との接触を減らすことに繫がるため、プライバシーの観点からも安心です。
温かみのある内装
温かみを取り入れることで、患者様に居心地が良いと思っていただけるため、照明を暖色にするなどのこだわりが大切です。
不安を取り除き安心感を与えられる病院であれば、また利用したいと思っていただける好印象のポイントになります。
緑を取り入れる
観葉植物などの緑を取り入れることでリラックスした空間を演出することができます。
そのため、待ち時間があってもこのような空間でならストレスを感じにくくなるでしょう。
インテリアの観点でも、緑を取り入れることで内装のポイントとなるため、内装のおしゃれさ向上にもつながります。
まとめ
病院の内装デザインは患者様に安心して利用していただけるように、色ごとにもっている特徴などデザインの基本を徹底することが重要です。
清潔感や明るい内装を取り入れることで、病院のかたいイメージを払拭できます。
また、内装にバリアフリーの対応をすることで高齢者の方や障害者の方等、多くの方が利用しやすい環境が実現します。
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